第23話 コマ勝負と授業参観と、「そのままでいいんだ!」④

 昼休みが終わりかけたころ、ちらほらとお母さんたちが来始めた。

 そうだ、授業参観だ。


 マズイ。

 ……また、忘れてた。

 ……ナミちゃん。パンダのまま、来るのかなあ。


 あ! へいちんだ!

 オレはへいちんを見て、へいちんに手をふった。

 へいちんは笑顔で手をふり返してきた。

 そのへいちんの後ろから、白黒パンダのナミちゃんの顔がひょっこり見えた。そして、パンダのナミちゃんは、にこにこしながら手をふってきた。


 げ!

 パンダのままだ‼


 オレはちょっと怖かったけれど、とりあえずナミちゃんに手をふり返した。

 ナミちゃんはにこにこと、他のお母さんたちにあいさつしたりしている。


 ……あれ?

 全然騒ぎになっていない。

「キャー!」とか「パンダがいる!」とかいう声が聞こえてもおかしくないのに。

 ナミちゃんと話しているお母さんたちも、フツーにしている。

 オレはどきどきしながら、こっそりと、ナミちゃんとナミちゃんの周りの人たちを観察した。


 ……なんか知らんけど……大丈夫みたい。

 どきどきは止まらなかったけど、香月先生が来たから、オレは前を向いて座った。パンダのナミちゃんを横目で見ながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る