第13話 いい子のオレと鬼太郎のアンテナ④

 ロコモコ丼はおいしかった!

 ナミちゃん、パンダだけど、お料理上手だ。……パンダの手でどうやってごはん作ってるのかなって、ちょっとギモンに思うけど。

「そう言えば、明日、へいちんが帰って来るよ」

「わーい!」

 かっくんは無邪気に喜んだ。

「すーくんは嬉しくないの?」

 オレが何も言わなかったので、ナミちゃんが言う。

「ううん、嬉しいよ。……でも」

「でも?」

「だって、ナミちゃん、パンダだし……へいちん、驚くかなあって思って」

「大丈夫だよ、だって、へいちんだもん」

 かっくんが言った。

「だって、へいちんだもん」というが、オレにはよく分からなかった。

「へいちん、パンダを見たら郡山に逃げ帰っちゃうんじゃないかなあ」

「えー」

「じゃあさ、」

 と、ナミちゃんが言った。

「へいちんにはナイショにしない?」

「はあ⁉」

「はあ⁉」

 ナミちゃんの❝ナイショ❞発言に、オレとかっくんはついハモってしまった。

「ナイショってさ、どういうこと? 無理じゃん、そんなの。むぅーりぃー」

 かっくんは妖怪ウォッチのムリカベのマネをしながら言った。

「そうだよ、ムリだよ」

「そうかなあ。『ナミちゃんはちょっと家出中!』とか言っとけば、大丈夫じゃない?」

「ナミちゃはへいちんがいる間、どこにいるの?」

「ロフトに隠れていようかなあ」

「トイレはどうするの?」

「こっそり行くよ」

「ごはんは?」

「こっそり食べるよ」

「そういう問題じゃない気がするんだけど。それに、『家出中』って言ったら、ナミちゃんのこと、探そうとするんじゃない?」

「うーーーーーーーーーん」

「うーーーーーーーーーんって、どうするの?」

「大丈夫だよ、だって、へいちんだもん」

 かっくんがまたさっきと同じことを言う。

「そうだね」

 ナミちゃんが言う。

 ちえ。

 なんか、一人で心配しているの、バカみたいだ、オレ。




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