第29話 ボクらはバグりだした
そんなある日、身が入っていないことを祭山田さんに注意された。
祭山田さんは前髪パッツンになっていた。
「余計なことをあれこれ考えるのは悪い兆候よ。良質の破壊をするためには心の揺れは禁物よ」
「はーい」
どこか気のない返事になってしまうボクら。ゴンドワナ超大陸のような集中力はどこかへ行ってしまった。
三人とも『近未来不眠症』(眠っているときに眠っていないと思いこんでしまい眠いという症状)気味にもなっていて、しかもボクは派手なスニーカーをはかなくなった。裸足にスニーカーの絵を描いた裸足で一日中歩くことも増えた。
ボクたちはただ確認したかった。
社会に 貢献 できている ことを。
そのことがものづくり&工場の本分だと思う。たとえそれが壊すという手段によるものだったとしても……。
疲れ切ったケイイチはときどきこう言った。
「名誉の最後をお化け工場に
ゆっこちゃんに至っては、ベルトコンベアで流れてくるものを直しやすいようにしか壊さなくいなった。情が移りやすくなっていて、またベルトコンベアに乗ったりもしていた。
「もし売れ残ったら自分で買い取るわ」
でもその心配はいらなかった。ボクらがタッチしたものは高い値で売れ続けた。
本来壊れるべきでない何かまで歪めてしまっているんじゃないだろうかという怖さがあった。
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