第22話 いよいよデビューか

次の日も、その次の日も、またその次の日も、ボクらはきちんと放課後出勤をした。


政府によるギフテッド乙種の育成制度をすれば小学生の終業は可だ。放課後そのものはとても解放されていた。


ことによると、なにか大きな話の接ぎ穂みたな次の日が、前の日かもしれない。と、そんな感じの当日。


まだまだボクらは見習いのままで、祭山田さんの横について勉強していた。早く自分たちにもやらせてほしいとまでは思わなかった。供給する側になることへの躊躇ためらいのようなものかも。


今のこのデビュー前のなにも壊さないままの自分たちの状態について三人なりに意見交換してみた。


ケイイチは『見学化社会の見学だ』と言い、


ゆっこちゃんは『見学会社化、社会よ』と言い、


ボクは『見学自由主義社会科見学ぽい』と言った。


どれも言い得て妙で、座談会的に終えた。


どちらにせよ下積みが長ければ長いほどボクらが小学生だったことを思い出せるだろう。


さらに次の日も同じように過ぎ、終業のチャイムとともに帰ろうとしたときだった。


事務室の横を通ったときに猿元さんに「そろそろ準備しといて」的なことを言われた。猿元さんは事務的な仕事をAIと折半でこなしながらこちらを見て言った。


明日は朝からの出勤となった。


「お、おつかれさまでーす、おさきでーす」


を最大限ていねいに言えた。


工場を出てから三人でひかえめにハイタッチした。


そして次の日の朝。


ボクはまるで“つもり貯金”みたいな、まるで目覚めかたで、早く起きた。こういう起床パターンは社会科見学初日の朝以来だ。


枕元にはもう『しおり』はなった。


昨夜のうちに壊したから。


さあ顔を洗う。すっきりする。このごろは毎朝爆誕できてる。


テレビのニュースで「国会で議長を含む全員がいねむりしたままでAIが法案を可決した」とやっていた。人間の仕事がない世の中において、いねむりの仕事があるだけましかもしれない。


『社会科  懸隔けんかく


もはや隔世の感あり……。


朝のもろもろは終えた。


「いってきます」を言って玄関から家を出た。

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