第17話 気になることをきいてみた
そのあとで2人がボクらに教えてくれたことは、先ほどのAI不可侵の件に関して、いわゆるコンピュータの父と言われているアラン・ケイさんの言葉で『未来を予測するということは、すなわち、それを発明することだ』を引き合いに、それを、まんま、この工場の生産神話にあてはめせしめると、まんま、その言葉自体を破壊してしまうで
しかしながら、ある現象がなぜ起こるのかを物質のレベルで説明するとすると、まずは分子レベル、もっと問われたら原子レベル、もっとなら素粒子レベル……そしてその先は結局のところまだ誰にも説明なんかできない。
だから説明なんかさせんじゃねーよオーラ出てて、けっきょく説明は終わった。
『社会科見学では説明を求むるなかれ』とボクはしおりにメモした。
もしも余白に書ききれなくなったら社会科見学の最終定理として社会学者たちを後年まで悩ませることだろう。
質問タイムがきた。
元気よく手を挙げた。
「じゃあ、いちばん前の子」みたいなありがちな当てかたはとくになくボクが質問権を得た。
「これを買う人がいるんですか?」とボクはきいた。さすがに“あんなのを”とは付けなかった。仮にも一生懸命壊したものだし。
今朝テレビで見た野党の人も元気よく手を挙げていた。いつなんどきでも社会は見学可だ。
質問を受けた大人2人は、もっともな質問だというふうにうなずいてから、お互いに目だけでやりとりしたあとで猿元さんが答えてくれた。
「彼女の『
「ふうん」なボクと「へー」なケイイチの声が重なった。
そもそもボクらのランドセルは売られてしまうんだろうか。もしそうなったら夜な夜なランドセルのお化けがばけてでてきて肩が重く感じてしまうかもしれない。
それじゃあ新種のランドセル症候群になってしまう。
せっかく昔から知りたかったお化け工場の謎に迫れたというのに、ヘンな気分だ。マイナスの意味で。
幽霊の 正体見たり 特殊詐欺?
「あーもしかして君達、詐欺とか思ってない?」
猿元さんはメガネを親指と中指の腹でUFOキャッチャーみたいに持ち上げながら言った。
「いいえ」
いいえってはっきりした3文字で言うのはこういう時くらいのものだ。
猿元さんは、「この混沌の時代のネイティブ世代の君達にはわからないのも無理ないけど」と断ったうえで、さらにハリウッドの格言を持ち出した。
「何が売れるのかなんて本当は誰にもわからない」というものだった。
売れたから売れるんであって
売れるから売れたわけではない
だそうだ。
瓜売りがというこの場合のパワーワードがもっと入ってくるかと思った。
「その芸術性において他の追随を許さないものばかりなんだよ、わかってくれるね」
「はい」
ちなみにそのとき追加でわかったことは、祭山田さんの着ぐるみはピーマンで、見渡すと他の作業員さんもピーマンかナスが多かった。
それはピーマンもナスも無駄花がない野菜であるかららしい。
全部が実になる。
つまりここではそれを着ているのがプロい人たちの
そこでひさしぶりに祭山田さんが口を開いた。全部おろした前髪の隙間から口が見えた。
「でもナスには連作障害がおこるはわ。休みすぎなのよあの連中……アタシは休むことなく……」
「まあ、その件はまた今度でね、悪いようにはしないからさあ……」
2人はしばらく軽く
その
連れしょんを認識するとどこに向けても2人のおしっこがバッテンになるという機能が便器についていて、それがまるで平行線の公理を否定した幾何学スキャンダル
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