第11話 いよいよメインエリアへ
猿元さんについて通路を行く。着ぐるみのまま……。
まだ社会科見学者は入れたことのないところにいきなり行くみたいだ。日本は根回し社会なはずなのにうれしいかぎりだ。
メインエリアにある創造ヤード。それが目指す先。
途中途中の透明ゲートを次々パスしていく。ボクらの遺伝子にDNAコンピューティングで社員証を組み入れてもらってある。これでもうどのエリアにも入れる。
ボクらの足音がまるで、次回へとつづくアニメみたいなエコーのかかった響きかたに聞こえる。
壁も床も真っ白で、なかなか人とはすれ違わない。
この壁や床はDXされていて通過する作業員の歩き方やタッチのしかたで心の動きを読みとっているらしい。いい仕事ができるために。この管理体制を見ても、この奥に人の活躍しているエリアがあるなんて信じられない。AIが製造までするのが一番効率的なのに……。
「どういう反応を示すか、チヨコレイトで歩いて見ようよ」
「うん、いいよ」
ボクらがじゃんけんしようとしたら猿元さんが振り向いて牽制された。
そのあとはちゃんと歩いた。
そして立ち止まる。「ここで体を清めてから入るように」と言われた。この先は工場の中枢。まるで宇宙船のエアロック室のような雰囲気の場所だ。手の届く場所に月から直送された砂、レゴリスが盛られていた。
それをひとつまみしてぱらぱらと自分にかけて清めた。
たぶん清まったと思う。
なんかついでに2礼2拍手もしてしまった。
「それはつぎからはいいから」と言われた。
関係者以外立ち入り禁止のスライドドアを開ける。
いよいよお化けを作らないお化け工場の秘密が……。
ボクはごくりと唾をのみこんだ。
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