第2話 テストと結果その間

「それでは、開始。」

その言葉でペンの音がカタカタカタカタ。科学は、暗記。苦手分野だった。頭を抱えた。終わった。その一言しか出ない。

最初の問題は、二酸化炭素の性質だ。作り方を一つ答えなさいなんて。覚えてるはずがない。二酸化炭素の作り方?。考えただけで頭が痛い。とりあえず飛ばそう。

二酸化炭素はだめだ。次、問2。次の中でアルカリ性のものはどれか選びなさい。

炭酸ナトリウム水溶液、硫酸、炭酸。これは簡単だ。酸がつくものが酸性と覚えていた。問3。誘導コイルの使い方で正しいものを選ぶ。流れる方向を無視してよい。

無視してはだめ。これも簡単。常識だ。問4、問5、問6、問7と順々に答えを出していく。常識の覚え方と言うか、独特の覚え方というかで解けている。

終わった頃には、頭を抱えている人が大勢いることだろう。でも、理想は違かった。

終わった頃には、ペンの音がしてなかった。上位5名。夢のまた夢。無夢。無能

そう思った。

「ハイ終了。みんなすごいねー。思ってたより早く終わったよ。それじゃ、発表は4日後ね。今日は解散。」

なんだろう。何かをはいている。ため息?。嫌味?。感情?。涙の代わり?。それとも、深呼吸?。きっとどれでもないなにか。この時の思いは、まるで風船玉のようだ。ふわふわ浮かれた気持ちでやったら、問題というものでしぼんでいく。

合格したら大空へ飛んでいって、外れたらそのまましぼんでなくなる。

今にもアライズは日本を侵食している。きっと死ぬときはアライズのせいだろう。

そう感じた。心が重い。疲れてはいない。今日は、早く寝た。

夢を見た。その夢は、合格して研究員になってアライズを消した夢だ。

こんなの妄想さ。空想さ。だけど、その気持ちが嬉しかった。

日がたっていって、当日。所長が来た。

「えー。ゴホン。発表します。新井美穂さん。小林健二さん。田中裕太さん。酒田呑香さん。逸香勇気さん。」

逸香勇気。俺の名前だ。その後、結果が返された。95点1問間違い3位。

上出来だ。

この研究プロジェクトは、アライズイレイザーと名付けられた。

新品の白衣はとてもきれいだ。

「それでは、研究を始めてもらう。あのとき言った通り、人の命を握ることだ。

失敗を笑う場合じゃない。一つ一つの努力を積み重ねるのだ。それでは、研究開始。」

さあ、始まった。吉と出るか凶と出るか。

二酸化炭素と結びつけた。co2は人にとって有害だ。

有毒ガスで食い止める。それを思いついた。ビーカーの中にあったのはアライズの破片。破片じゃ何もできないようだ。

「あのー。勇気さんでしたっけ。なにか思いつきましたか?。私、呑香と言います。

私、磁石反応を調べたんですけど、失敗して…。」

呑香さん。磁石反応について調べたんだ…。思いつかなかった。

ガスがうまく行けば。教授とともに。ガスを使って。実験をする。ビーカーじゃだめだ。本物だ。

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