これはパラレルワールドだ、そうに違いない

 いくつか悶々とした日々を過ごしながら自分なりにたどり着いた到達点がある。それが「パラレルワールド」である。

 まず最初に作品を書いて、その後色々変化があって、ごっそり内容が変わることがある。そんな時に、

「自分の作品が否定された」

 とか

「自分の作品が変更された」

 と思うととてもつらい。だから、私はこう考えるようにした。

「最初の作品はそれはそれでいい。それとは別に、パラレルワールドとして別の設定、つまり短いVer.やもし●●がいないとしたら主人公たちはどんな動きをするか、などを書いてみないか」

 と言われたということにしてみるのだ。


 この違いは大きい。

 いわゆる、作品を上書きするのではなく、別の作品を足していくのだ。最初に書いた作品は消さずに残しておく。そもそも「クリエーターは絶えることのない湧き水であれ」というのが私のモットーであり、同じ作品でも様々な設定、尺であってもいくらでも作品を作り続けるべきであると思っている。なので、最初に書いた作品は残しておいて、編集者の方から言われた要望をチャレンジとして受け止め、新たなものをどんどん作っていくのだ。そう考えることでだいぶ自分の心は楽になった。もし同じような感情を抱く方がいたら、ぜひ利用してみてほしい。

 結局最初の作品は残しておくのだが、振り返ることはない。でも残っていること、それが大事なのだ。


 特に3、4話の修正は凄まじかった。

 まず3、4話を作った時、それぞれにインパクトが欠けるため、どうせなら、と一緒にすることになった。すると色々不都合が出てきたので、色々編集を加えた。そうこうするうちに、やはり長くなってきたので、やっぱりふたつに分けることになった。今度は分けると前半の部分の山場が弱くなってきたため、山場を作る必要が出てきた。もう最初のストーリーは跡形もない。


 ただ勘違いしないでほしいのは、このやりとりを編集者I氏が横暴に私の作品を滅多刺しに切り刻んでいるわけではない。あくまで、一つの話において、山場とヒキが重要となるのだが、それを作る上での意見をくださるのだ。その意見に対する反応は主に3つある。

 1 なるほど、それがいい!

 2 うーん、それはどちらでも良い気がするけどI氏がそういうならそうしよう

 3 いや、それはちょっと入れたくないな……。


 1と2は言われた通りに修正。3は鵜呑みにはせず「わかりました、ちょっとそこは考えさせてください」と言いつつなんとか納得してもらえるような設定、ストーリに修正してまたご意見をいただく。自分1人では気づかなかった視点や、ストーリーへの共感具合なども言っていただけるので、今までどれだけ自分本位で作品を作っていたのか思い知らされる。

 そしてどうしても入れたいシーンも「削ってみては?」と提案されることもある。でもそこは大人の対応、ただ単にいやだ、と言うのではなく、納得してもらえるように尺を工夫したり、2人出てくるところを1人にまとめてみたりと色々工夫し、それでもダメなら削るしかない。削るところが多ければ当然作品の面白みが減る。面白みをどこまで活かせるか、このやりとりにまさに自分の力が試されている気がした。

 この辺りになってくると、ようやくちょっとずつ歩き出せた気がする。今もまだ途中だが、色々悩みながらなんとか創作活動を続けている。連載が開始し次第大々的に宣伝をするので、是非それまで楽しみに待っていてほしい。


 ということで、これからもよろしくお願いします。

 今後も何かあれば奮闘記という形の愚痴を書いていきます、よろしくお願いいたします。

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