第10話
私はスマートフォンをしまうとその場から逃げるように自転車を走らせて
入浴を終えて宿題を済ませると待望の自由時間となった。でもまだ今までの習慣が抜けきらないのか、胸の奥が妙にざわつき気持ちが落ち着かなかった。本を読み始めても没頭できず、スマートフォンでネット動画を見始めてもすぐに画面を消してしまった。そして無意味に写真フォルダを展開しては、あるはずのない画像を探してはまた画面を消して端末をベッドに投げ捨てた。
何も手につかないのは仕方のないことだった。私は今日、一人の親友を殺してしまった。それは半年も前に死んだ人で、魂だけが私のスマートフォンの中で生き続けていた。そのことは誰も知らない。親にも学校の友達にも話していない。今となっては話したところで信じてもらえないだろう。しかし、確かに彼女はそこに存在していた。そして私がタップ一つで削除した。そうするしかなかったとしても、罪の意識に
それだけのことだと思っていた。
布団に入って明かりを消すと、部屋は暗闇に包まれた。脱力すると心臓の音がやけに強く体に響いた。鼻から漏れる呼吸音も騒がしく、目は閉じているのか開いているのか、そのうち分からなくなった。興奮が収まらないのは決断の
どうして、あんなことをしてしまったのか。
頭まで布団をすっぽりと
私は視線を左に動かして
その時、幻覚であるはずのサユがぱっちりと目を開いた。
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