第26話 以外と簡単な話なのかもしれない

 雪奈とのデートをしてから、二週間ほど経った。


 デートで雪奈に頬にキスをされたりして、驚きはしたが全く嫌ではなかったし嬉しかったのできっと俺は雪奈の事が気になっているのだろう。


 あのデートからも雪奈からのアタックは続いていて今では一緒に登下校するときは、必ずと言っていいほど手を繋いでいるし、帰り際には頬にキスをされることは数度あった。


 だが、やはり雪奈も恥ずかしいのかその度に頬を赤くしているのが印象的でとても可愛い。


 .................俺は雪奈に告白したほうが良いのだろうか?


 この曖昧な関係をいつまでも続けていくわけにはいかないけれど、どうしてもその一歩が踏み出すことはできない。


 きっと相手が俺が辛いときに支えてくれて幼いころから見てきた雪奈ではなかったとしたら、俺は幸奈のことを引き摺ってそもそも彼女を作ろうなんて数年間は思いはしなかっただろう。


 俺は、一体どうすれば..............


「おはよ、幸人」

「..............」

「幸人...........?」


 それに雪奈がいつまでも俺の事を好いてくれるなんて思い上がりをしてはいけない。こんな関係をズルズルと続けていれば雪奈は生殺し状態できっと辛いだけだろう。


 いっそ、もう付き合えないと言ってしまった方が良かったりするのだろうか?だけれど、さんざん待たせておいてそれは..............


「えいっ!!」

「っ!?」


 頭の中がグルグルとして訳が分からなくなってしまっていると急に抱きしめられて体がビクッとする。


「おはよっ、幸人」

「あ、おはよ雪奈」

「どうしたの、なんか考え事してたの?」

「あーうん。ちょっとね、色々と考えてて」

「ふぅーん、そっかぁ。それって私に相談できること?」

「それは..............」


 雪奈に対して今すぐ告白するべきかどうかの事を本人に対して言えるわけがなくて、返答に窮してしまう。


 俺が答えずにいると雪奈は何かを察してくれたのか一つ頷いて頭を軽く下げる。


「ごめんね」

「いいのというか私こそごめんね。幸人にだって相談できないことくらいあるよね。でも考え事をすることは良いと思うけれど、あんまり深く考えすぎない方がいいこともあるからね?」

「うん、ありがとね雪奈」


 あんまり深く考えすぎない方がいいこともある、かぁ。


 ....................うん、そうだな。確かにそうかもしれない。


 あまり難しく考えすぎず、この雪奈の事が好きという感情に素直に従うこともありだよな。もし、雪奈が幸奈と同じようなことを俺へとしたとしても................。


 いや、雪奈はそんなことはしない。


 例え心のどこかでそう思ってしまったとしても雪奈を信じなければ前には進めないのだから。


「もしかして、何か結論が出た?」

「え?」

「さっきよりも顔色がいいから」

「そうかな?でも確かに結論は出そうかも。これも雪奈の助言のおかげだね」

「私、何かそんなためになること言ったかな?」

「うん、すっごくためになったよ」

「なら、良かった」


 雪奈はそう言うとニコッと可愛らしい笑みを浮かべた。


 そう言えば最近幸奈からの謝罪は未だに毎日続いているが段々と無理にでも接しようとはしなくなってきたな。


 このまま関りが薄くなっていけばいいんだけれど。




 


 


 


 


 


 


 


 

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