第11話 幸せと苦悩のある日、
私と幸人の関係は遡ればかなり昔からの仲で、それはこれから先一生続くものだってそう思っていたし、続けようと思っていた。
私、幸人、雪奈。
小さい頃からこの三人で仲良くしたり、たまに喧嘩したり、気の弱かった雪奈を幸人と二人で守ったり、私達の家でお泊りをしたり幸せに過ごしていた。
今では雪奈は成長して自分に自信を持てるようになったことで、私と幸人の後ろにいることは無くなったけれど。
そんな私と幸人、雪奈の関係は段々と変わっていく。
それは私が好きという感情を知って理解してからだ。
幸人の事を思い続けて、雪奈が幸人の事を好きだということも分かっていて、それでも私は告白して幸人と結ばれた。
お母さん、雪奈も祝福してくれた。
私と幸人の恋人関係は順調の一言だった。付き合ってから初めてのデート。
今まで幸人とは何度も出掛けたと言うのに、付き合ってから初めてのデートは今までにないくらい緊張した。どんな服を着て行こうかな?とか幸人に可愛いと言ってもらえるかな?とか、いっぱい悩んだ。その悩む事すら楽しくて幸せだった。
幸人と初めてのデートをして、恋人になってから初めて手を繋いだ。汗をかいてないかなとか、匂いは大丈夫だよね?とか色々緊張していたけれど、それは幸人も同じで握った手とか視線が泳いでいて、可愛かった。
何度もデートを重ねて、いつしか幸人から初めてのキスもしてもらって、何度も唇を重ねた。幸人とキスをするたびに私の心の器が満たされていくのを感じたし、本当に毎日が幸せだった。
キスの次はその............そういうことも勿論した。あれは、クリスマスの日だったと思う。いつもよりキスが長くしてお互い息が出来ずに蕩け合った視線でその雰囲気のまましたことを今でも覚えている。
少し痛かったけれど、幸人が私の体の事を気にかけてくれて優しくしてくれたから痛いというより気持ちよかったし、何よりその気遣いが嬉しかった。
することをすれば、私達の仲は更に深まった。
だけれど、それと同時に私の中である感情と言うものが薄っすらとだが、顔を覗かせていた。
私は、幸人の隣に相応しい人間なのだろうか?と。
幸人は同年代の人に比べて遥かに大人びていて、落ち着いているし物事を冷静にとらえている。勉強も当たり前のようにできて、スポーツもできるし、身長も高いし、高校に入ってからは元から顔は恰好良かったのに更に良くなった。それに、家の家事までして、幸人のお父さんである唯人さんの負担を減らそうとしている。
当然、そんな魅力の詰まった幸人は雪奈以外にもモテた。中学生の時もそれなりにモテていたが高校になって身だしなみを整え、身長も伸びてきたことによって更にモテていた。
そんな幸せと苦悩のある日、私は幸人の誕生日に自分で稼いだお金で幸人へとプレゼントを渡したいとそう思って、アルバイトを始めることにした。
お母さんは私がお金を出すよと言ってはくれたが、私の気持ちを汲んでくれたみたいでアルバイトをする許可をくれた。
どうせアルバイトをするのならば、オシャレなカフェとかで働きたいと思った私は幾つか面接を受けて、バイトをするようになった。
自分でバイトをしてお金を稼ぐことは、私にとって凄く楽しかった。私も誰かの役に立てているんだとそう思った。最初は慣れないことも多かったけれど、バイト先の先輩はみんな優しかったし、面白かった。
その中で、私は一人の先輩と出会った。
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