第10話 浮気してるからに決まってるだろ
今日の寝覚めは悪いと思ったが、不思議と良かった。窓を開けて空気を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。
「よしっ、今日も頑張ろう」
体を伸ばし終わり頬を軽く叩いて気合を入れてから部屋を出た。
顔を洗って自分の顔を見てみると、顔はいつも通りで何処も変わりはない様だ。顔についている水をタオルで拭いてからキッチンへと立つ。
今日はご飯を炊いてあるから和食だな。確か鮭もあったと思うし。
冷蔵庫から鮭の切り身と豆腐などを取り出して早速調理に取り掛かった。慣れている作業なので数十分も経てば、完成していてそのころには父さんもリビングで新聞を広げていた。
テーベルへと運んで、ご飯を食べて学校へ行く準備をして家を出た。
気持ちはもう固めた、大丈夫。何も心配はいらない。
午後の授業をの授業を終え、ついに放課後になった。
「ゆ、幸人。今日は一緒に帰ってくれるんでしょ?」
「ああ」
今日でもう幸奈と帰ることは無くなるだろうし、今日は幸奈の家まで送ることはしないだろうけれど。
「そ、それで大事な話って何かな?」
「それはまだ言えない」
「そ、そっか」
何処でその話をしようかと考えた結果、誰もいない俺の家で話し合うのが最適だと考えた。幸奈の家は論外だとし、もし何処かのファミレスで話をした場合俺が冷静さを掛けて声を大きくしてしまい、他のお客さんに迷惑を掛けてしまう可能性があるから。
本当なら家を跨がせたくなんて無いけれどこれが最後だと思えば我慢できる。
一言も話すことは無いまま、俺は幸奈と自宅まで歩く。
「きょ、今日はお家デートするってこと?そ、それなら最初から言って欲しかったな」
「違う。外じゃ話せない話だし迷惑を掛けてしまうかもしれないから俺の家でするだけ」
「そ、そうなんだ」
黙々と歩き、自宅に着いた。家の鍵を開けて自室へと案内する。飲み物すら出したくはなかったけれど、我慢して出すことにする。
幸奈の対面に座って話をすることが出来るようにしてから、お茶を一口含んで喉を潤してから俺は口を開いた。
「幸奈、俺たち別れよう」
「.............え?」
思っていたより滑らかに俺の口からその言葉が出た。幾ら気持ちを固めようともう少し躊躇うものかと思ったがそうではないみたいだ。
俺の言葉を聞いた幸奈は驚いたような顔と同時に物素五胡悲しそうな顔をして、こちらを見ていた。
「ど、どうしてか理由を聞いても良い?」
「それは.............自分が良く知っているんじゃないか?」
俺がそう言うと、心当たりがあるだろう幸奈はバツが悪そうな顔をして俺の視線から逃げるようにして反らした。
「勿論、最近一緒に帰れていなかったからじゃない」
「……」
「お前が浮気をしているからに決まっているだろ」
そう言って俺は、知らない男と腕を組んで仲良くデートしている所を撮った写真をスマホで表示させた。
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