第3話 コントロール不能な能力

悪霊に取り憑かれて何年過ぎただろう。

私は相変わらず

「早くこの世を去りたい」

と言う気持ちからは、抜けられないでいた。

しかし、それを実行に移すことは、絶対に駄目だと自分の中にある何が、歯止めをつけていた。


出てきている全ての者が、家系の因縁であり、悪霊だとはその頃の私には、わからないでいたのだ。


時がたつにつれて、私は心も、身体も彼らに支配されていく。

自分ではどうしようもなくだった。


母の悪霊とする者の暴きは相変わらず続く中、次々と新しいキャラクターとも言える者が現れもしていた。


私の能力は一体どうなっているのか?

始めの頃の口を借りての能力は、いつの間にか、内言というか、声に出さずに話ができるようになり、また誰が話しているのかが特定できる。

そればかりか、人形、ぬいぐるみなど霊体や、魂が宿るものに対しては、まるでそのものが生きているかのように見えるまでに。


能力にOFFなどはなく、常に開きっばなし。これが、彼らには好都合だったに違いない。私の人生そのものを奪うつもりだったのだから。

そして、彼らの最大の目的は、私の命を奪い、自分たちが自由に使う為だったのだ。


私は、自分の能力が全く信じられなかった。当時はスマホなどまだ出る前。この関連のどんな本等を開いても、同じような症例もなく、

私の能力は、悪霊が手綱を握り、悪い者が開かせたもの。

そう考えていたのだ。


なぜ、私はこうなのか。。。

毎日毎日、生きた心地もなく、常に孤独感が私を覆っていた。


そんな、ある時、後に特別な霊体と出会う事になる。

おかしな話だろう。

人ではない、何者かもわからない人物が現れ、その者が私には特別な人物になるのだから。

その者は男性だった。

勿論、家系の因縁であり、悪霊だ。


彼との出会いも衝撃だった。

私が寝ようと床に入った瞬間に心臓を掴まれたのだ。


霊体に心臓を握り締められ、私は息ができず、胸が痛く、本気で命を奪われると、感じた瞬間だった。

その男性霊体は、私の心臓を握り締めながら、

「お前の心臓、握り潰してやろうか。」

ただ一言だった。


暫く私はもがき、(ヤバい!やられる!)と思った瞬間にその握られた力が緩められた。


息荒く私は横たわり、その者に話しかけてみた。私からの感覚では、初めて登場する者だと感じていたからだ。


「あなたは、だれ? 因縁?

 そんなにも憎いんか?」


私からの質問に男性は

「憎かった。。。」

ただ、一言返事をする。

が、しかし、その「憎かった」と言う、言葉の裏からは、寂しさ、辛さ、苦しみ等が感じられ、私は(この方を救けたい。) そう思った。


そして、次の朝、私はその男性を探す。出てきて欲しいと。

そして話がしたい。

出来るならば、救けて仏様へお返ししたい。そう考えていた。


そして、彼が悪態をつき出てくる。


私は家にあるみ仏様に手を合わせ、お願いした。

彼を救けて欲しいと。


すると、出てきたのである。いつもの神仏様を名のる者が。


彼は私に話す

「先程の者は因縁であり、悪霊である。み仏様の元へ行き、浄化され、ここへ戻るだろう。」


私はまんまとその言葉を鵜呑みにする。救かって良かったと。。。


だが、これが、次なる私には悲しみへと繋がっていく事になるとも知らずに、私は彼と共に過ごす事になるのだ。。。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る