第28話 ついに、やってやりましたわよ!
「ふんふんふんふん、ふんふん~♪」
「どうしたんです、お嬢? すこぶる上機嫌ですなぁ」
ガッハッハ、と続きそうな厳つい低音ボイスが響く、
「まぁね~。だってほら、やっと普通に街まで来れるようになったからさ」
思わずくるっと背中を見せて、何もない普通の肩甲骨まわりを強調してみせる私こと、銀灰色の髪と猫耳しっぽ付き、ブルーサファイアの瞳をした猫人族160(センチ)バージョンの二代目聖龍パナイ。
おや? カミサマから改名祝いに押しつ……プレゼントされた消せないはずのコウモリの翼はどこへとお思いのそこのアナタ!
いやね、あるにはあるんですよ翼。どうにか消せないかと思って修行の合間にもいろいろ試してみたさ、それはもう必死で。
単純に消えろと思っても、ウンともスンとも反応はせず。
翼に意識を集中させたらムズムズっとしたんで、およ? とチカラを入れたらブワッ! とでっかくなっちゃってまぁ大変。
猫人バーションの身体をすっぽり覆い隠せるぐらいにまで大きくなって、それはそれで攻撃を防ぐのに使えるしコレ便利じゃ……って違ぁ~う! 流されんじゃないよ私!
でっかくなるんなら逆にアホみたいにちっちゃくしちゃえるんでは? というかすかな希望は、ある程度以下には小さくできないというカミサマからのありがた~い制限とともに儚くも砕け散りました。
ならばと翼の色を透明にして、まるで無いかのように見せるのはどうかと試すも、これもカミサマに先回りで防がれていて失敗。
そこでようやく思いついたね。コウモリの翼を直接どうこうしようとするのはスッパリ諦めて、翼をマジカルな光学迷彩で包んで光をねじ曲げちゃえ! という荒ワザを。
これが見事成功。今は翼をぐるっと回り込んだ光が視覚に入ることで、あたかも直接私の背中が見えているかのようになっております。
ありがとう前世の知識。ネットの海は広大ですのよ、オホホ。
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