第26話 それにしてもホイホイし過ぎじゃない?

 

 

 ひとくちに竜といっても、この世界には色んな種類がおりまして。


 聖龍イザミンや私パナイは世界の現場責任者はぐるまとして機能するように、カミサマが直接生み出した存在。


 龍脈の泉周辺を守護する四天王の影響下にある眷属の皆さんは当然だとしても、結構下位の竜種にとっても聖龍という存在は強大にして絶対であり、あらゆる竜にとっての頂点……のハズなんですけどねぇ。




 ここは泉のある森を出てそれなりな距離のところに位置する、小高い丘の上の岩場の影。


 大型の竜が普通に飛んだら3日ぐらい、私が疑似ブースターを使って飛ばせば半日。ジェットエンジンを背負って空を飛んでいる人が前世にいたなぁと思って、なんとなく再現してみました。


「距離7千から8千、総数68。竜種は……色々かな?」


 土色っぽいの、緑っぽいの、水色っぽいの、くすんだ赤っぽいのと、全体的に薄い色味の竜たちが集団でこちらに向かってきている。


 いわゆる下位種レッサーよりは上で、中位の下らへんをうろちょろしてるぐらいのレベル。


 しっかし出るわ出るわ、よくこんなにも集まったもんだ。数でゴリ押しすればどうとでもなるぐらいに軽く考えてやしませんか、キミたち?




 いよいよ慣らしを兼ねて手近な龍脈を修正していこうという段階になって、まず最初の障害になるのが、龍脈周辺のポイントごとにナワバリを張って居座っているだ。


 飛竜系最上位であるそう竜のヴェンおじによると、中途半端に力を持っている奴らは妙な過信でお山の大将をしていて、こっちの言うことなんて聞きやしないのが多いらしい。


 ましてや今の私の見た目は銀灰色のコウモリ翼付きの猫(最大10メートル)か、160センチの猫人族。


 いくら聖龍イザミンの後継者だって言っても、その見た目だけで侮って相手の実力を確かめもせずに叩き潰してくる筈なんだってさ。


 実際守護四天王の情報網経由で、ゴキゲン取りをしておこぼれにあずかろうと飛び回っているワイバーンあたりに『どこかの調子に乗った竜が散々挑発しては周囲の獲物を荒らし回っている』という噂話をバラ撒いてもらって、どこそこに拠点を構えてお宝を溜め込んでいるとかなんとか、適当なウソを与えてあげれば――。


「そりゃ集まっちゃうよね~。おバカさん達だもの」


 この時間帯は手薄らしいとワザワザ付け加えておいたから、2~3体は引っかかるかなと思ってたんだけど。思いのほか大漁だったわ、コレ。



「さて……いっちょサクッとやっちゃいますか♪」

 

 

 

 

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