第24話 コワイぐらいに都合がいい。

 

 

 私は守護四天王とは別の席……というか、丸テーブルの隣に出したカウンターキッチンのほうに立って注文をこなしがてら、バーガーをかじりタウ坊に出したひとくち餃子の残りをつまんでおります。


 聖龍が将来従えるべきメンツに料理を出すってどうなん? とかは特に気にもなりません。前世は会社勤めの一般人なもんで。


 このカウンターキッチンは誰でも使えそうに見えて、私しか使えない特殊仕様。コンロと流し台、まな板スペースはギリ使えなくはないけど。


 問題はキッチンの作業空間上にあるオーブンやグリル、トースター、電子レンジもどきのどれにでもなる場所。


 こればっかりは機械の仕組みや料理の出来上がりがどんなものか知らないと使いこなせないと思う。なんせどんな大きさの食材にも対応できるようにと実体を設定していないのだ。


 だいたいこの辺に入り口がある、ぐらいの擬似的な扉しか決めてません。


 扉の向こうは亜空間の調理スペースで、温めるだけなら実質0秒。ものの温度をこれぐらいと指定すればハイ終了。それも私の感覚で全部やってます。


 トーストはいい感じのきつね色プリーズと5秒、グラタンやドリアも熱々で焦げ目はいい感じにとイメージして10秒。焼き魚も10秒かな?


 クッキーは仕上がりを見定めながら10秒、ケーキはふっくらフワフワにと願いつつ膨らみ具合を眺めながら調整して約15秒。


 さすがに長時間の焼き物や煮込みとかは2時間ぐらいトロ火で、みたいなアバウトさで設定して5分ぐらい放っておきます。などなど。


 同時調理はまた別の扉をオープン。実質無限で増やせます(覚えていられるまで)。


 マイ亜空間という箱庭世界の環境を直接いじってるようなもんだから、時間加速的なこともやってるのかな? 考えだしたらコワイんで、そこはノータッチで。


 完成品を想像しながらゼロから創造、ポンと取り出すっていうのも試そうかとしてやめました。だってそれじゃあ味気ないよねぇ。パンぐらいなら割とやれそうだけど。



 やっぱり料理は自分でやったほうが楽しいよ、きっと。 ……フシギパワーで手間を省くのは、別枠でお願いします。

 

 

 

 

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