第23話 お姉さん、そこまでしなくても……。

 

 

 ヴェンおじことヴェンデラッタはこっちの食材を使った酒のアテ料理。


 コケドリはでっかいニワトリ(凶暴)、オークは定番なアイツ。コケドリなんて骨ごとバリバリいっちゃってます。


 たわわ美人ことアンネイサスはアフターヌーンティーのセットとニホン式の喫茶店なパフェ。


 紅茶は適度に温かく、パフェは手をつけなければ溶けないように器へマジカルな細工がしてあります。


 糸目ぽっちゃり坊っちゃんことタウペデはニホンの中華料理。とにかくベタいのがお好みらしい。


 あ、回鍋肉ホイコーロとひとくち餃子を追加と。注文入りま~す(雰囲気で言ってるだけ)。


 白髪ナマズひげオジィのオキナウは、キョウトっぽいぜんざいセット。見た目と相まって似合いすぎ。甘味処かどこかの縁側ですかねここは。


 そして銀灰色の猫人族160(センチ)モードな二代目聖龍パナイこと私は、無糖のカフェオレにエビカツのバーガー、メープルシロップを染み込ませたバウムクーヘンにカカオ強めなチョコソフトが乗ったやつ。なんて言うかは知りません。


 このお皿にはしっとりとバウムを温めて、チョコソフトは手を付けるまで溶けないというややこしい制御を仕込んであります。不定形な物体ごとに温度を管理するのはヤッカイだったさ。


 成功したのが嬉しくて、例のそう竜系な商会長お姉さんにプレゼンしたら『高度な術式過ぎて前例がありません……』と、ノーのお返事が。


 だったらティーセット込みで送ったサンプル10セットはお姉さんにプレゼントね、とメッセージしたら『末代までの家宝に致します!!!』とひれ伏す勢いな書面が届きました。


 これ、約束を破ったらそれ相応の被害を一族が受けるような盟約がなされたガッチガチの魔法契約書類。お姉さん、そこまでしなくても……。



 言えないわ~。これまた修行のスキマに量産したやつが三百円ショップぐらいの気分で在庫してあるから、割れたら捨てちゃってもいいだなんて。

 

 

 

 

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