第20話 いつの間にやら大集合。

 

 

 龍脈の泉の畔に置かれた、精緻な彫刻の施された巨大な木の丸テーブルと、雰囲気を合わせたいくつかの椅子。


 柔らかさと鋭さ、暖かさとしたたかさを兼ね備えた意匠を生み出すのに三十回ぐらいは作り直したね。もちろん魔法で。


 椅子は安定して高度な制御を繰り返し続けられるように、量産すること。一十百千の千、サウザンドの千。イチゼロゼロ……しつこいか。


 とにかく家具工場かっ! てなぐらいに作りまくるまくるまくる。


 爆発的に増えた生命エネルギーのお陰で、消費する量としては微々たるもの。


 それより精神的疲労のほうがハンパなかった……。もうおんなじ事はやりたくないかも。


 その内ここに置いてあるものと、亜空間に仕舞ってあるもの百脚を残して、残りの九百脚弱は蒼竜そうりゅうなヴェンおじことヴェンデラッタの部下さんに持っていってもらって、蒼竜族がヒトに化けてトップを務めている商会経由でこっそり売ってもらいました。


 なんか流れ流れてどこかのヒトの王族がいたく気に入っちゃったとかで、大量の注文をしようとしたらしいんだけど、聖龍である私が作ったのを知っている商会長の彼女が『恐れ多過ぎて丁重にお断り致しました!』って恐縮しまくっていたらしい。


 あ、その王族にじゃなくて、私にワザワザ作らせちゃうかもってところにね。



 その巨大丸テーブルと数脚の椅子に、今は私を含めたチーム・パナイが勢ぞろいしております。この名前どうにかならんのか……?


「え~、それでは会議を始めたいと思います」


 一応この場の代表者である、私こと二代目聖龍パナイ。銀灰色の髪と深く鮮やかなブルーサファイアの瞳をしている、猫耳しっぽ付き(+不本意ながらコウモリみたいな翼あり)の猫人族160(センチ)バージョンです。


 もちろんすぐ横にはオブザーバーとして聖龍イザミン(ちんまいバージョン)も浮いてるよ。


「御意。 ……皆の者、静粛に!!!」


 特に誰も喋ってないのに大声を張り上げている蒼髪のゴリマッチョイケオジが、今代の蒼竜守護役、蒼炎ソウエン・ヴェンデラッタ。


 座ってても暑苦しいオーラがプンプンだし、声がウルサイ。


 そしてヤバいぐらいの聖龍イザミン至上主義ファースト


「アンタがうっさいのよ~。少しは抑えるって事を憶えなさい?」


 おっとりしてるようで口調が強めなのが、翠髪みどりがみのスラッとした美人、龍脈の泉周辺の森の防衛担当な翠竜すいりゅう守護役、翠嵐スイラン・アンネイサス。


 森の中をくまなく動き回るために、小さなトカゲから翼を持った翠色の大蛇まで、変幻自在に姿を変えているらしい。


 あの泉にいたカラフルな鳥のうちの一羽が彼女だった時もあるんだとか。全然気づかんかった~。


「……………… (……今日のゴハン、何かな~?)」


 どこかのほほ~んとしている黒灰色チャコールグレーの髪色をした糸目のぽっちゃり坊っちゃんは、泉周辺の地中担当、土竜どりゅう守護役、土遁ドトン・タウペデ。


 モグラだったりミミズだったりと、こちらも姿をよく変えているそう。高速で地中を進みながら地面へとクジラのように飛び出したりもできるらしい。


 神出鬼没で地味に手強いんじゃなかろうか。


「フォッフォ、元気なのはエエこっちゃ。ワシも若きゃあの~」


 いかにも老師か仙人って感じの白髪ナマズひげなオジイチャンは、龍脈の水辺担当の魚竜守護役、深潜シンセン・オキナウ。


 普段は龍脈の泉の底にいるって本人(本竜?)は言ってるんだけど、少なくとも私はドコにいるのかサッパリ分かんないのだ。


 たま~に私が作る前世のおやつを食べに来る時も、そこにいるのに気配が読めなかったりして。もちろん今もね。



 深潜の称号、恐るべしだぜ……。

 

 

 

 

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