第19話 とにかく頑張った。

 

 

 \\\パッポ! パッポ! パッポ! (鳩時計)///



 ……いや~、捲いた捲いた。本来3年はかかる所を早めまくって半年ですよ、半年。


 聖龍イザミン激推しオジサマな蒼竜そうりゅう守護役、蒼炎ソウエン・ヴェンデラッタの来襲&絶叫から半年。


 龍脈の核として機能し続け、消える運命にあったイザミンを救う事を第一目標に、その前段階として世界各地の龍脈に生じた歪みや流れの滞りを正すべく、私こと二代目聖龍パナイはとにかく頑張りました。


 地形を変えられるぐらいの大がかりな魔法をバンバン使いまくれるようにまずは体力作りだ! と基礎代謝ならぬ生命エネルギー総量のビルドアップに努めた結果、地球の飼い猫サイズだった私の身体は3ヶ月を過ぎた時点で全長10メートルの大台を突破。


 まるでミニチュアセットの泉と森の中へ普通の猫を置いたような光景に、自分でも違和感ありまくりだったよ。


 そこからは本格的な修行の本番開始。いきなり龍化するのではなくて、逆にエネルギーを凝縮して小さくなる練習だ。


 開始時点の大きさである猫10(メートル)を基点として、猫8、猫6、猫4とエネルギー総量を変えずに凝縮させる感覚を掴んでいき、猫2にまで凝縮できたら今度は二足歩行の猫人化、つまりは変化へんげの練習に移る。


 全長2メートルの猫が直立歩行して、腕を伸ばし後ろ脚を真っすぐに、人っぽい姿勢になったらより人寄りへと近づきつつ身長を縮めていき、猫人160(センチ)へ。


 この世界に存在している猫人族と違和感のない状態にまで持っていったところでヒト化は一旦終了。


 ちなみに猫人族は人族に猫耳としっぽが生えているやつ。この世界に生まれた姿が猫であるというアイデンティティを消したくなかったのと、そのほうがカワイイなぁという個人的な好みです。


 ここからがある意味本番。猫人160から更にエネルギーを凝縮させて、特訓開始前の猫状態にまで戻る練習だ。


 ……これが大変だったのなんの。猫人160から猫1(メートル)まではなんとか。そこからデッカイ壁のようなものにぶち当たって、突破するのに1ヶ月も使ってしまったんである。


 猫10から猫1までに1ヶ月、元の猫サイズへ戻るのに1ヶ月で合計2ヶ月。エネルギー総量を増やしていった3ヶ月と合わせると5ヶ月。


 元の猫へ戻る間の停滞期には時間が惜しいからと、並行して様々な属性魔法の習得と高度化、複数属性の同時使用からの複合魔法の行使、私オリジナルの使用法を編み出したりしながらの期間が重なって……1ヶ月半ぐらいかな?



 なんやかんやで、ここまでが半年。計算合ってます?

 

 

 

 

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