第18話 結構マジでヤバかった。

 

 

『ほう? ……御主、妾に終生の忠義を誓うておったが。もしや反故にするつもりではあるまいな?』


 おおっと、適当な事ぬかしやがったらタダじゃおかねぇぞ? という聖龍イザミンのオーラがビシビシと蒼竜そうりゅうなヴェンおじに突き刺さっております。側近中の側近、ここ龍脈の泉が鎮座する森の天空を守護せし蒼炎ソウエンともあろう彼に一体何が起こったというのか?


 それに対するヴェンおじは俯いたまま全く動じない。私に対する臣下の礼をとり続けるその胸中や如何に。


 ……気をそらしたくて第三者っぽくしてみたけど無理だわ~。こんなポッと湧いて出てきたちんちくりんの猫に鞍替えしようなんて、大した人生経験のない私でも何か裏があるんじゃないかと疑っちゃうぐらいだもの。


「聖龍イザミン様への誓いは不滅。そして、お嬢はイザミン様の一部を受け継ぐ正当なる後継者。半身も同然であるお嬢に従う事は、それ即ちイザミン様へ従うのと同義かと」


『詭弁だの。確かにパナイは妾の一部を受け継いでおるが、妾と同一などでは決して有らぬのだ。御主がパナイに妾の幻影を視ているのであらば――』


「聖龍様は幻影などでは御座いません! この世界の創生より我ら竜族と共に在り、今も尚世界の根幹で有り続けられる唯一の存在。それが何故、消えてしまわねばならんのか? ……そのような事は、決してあってはならぬのです!!!」


 腹の底なんてもんじゃない大音量。その言葉だけで私なんて吹っ飛ばされそうな絶叫が、痛いほどの非難が、ありったけの懇願が、泉の地下に留められているイザミンへと届けとばかりに。


「我は何処かで諦めていたのです! もうこの声はどうやっても届かぬのだと。 ……どうか、どうか聖龍様には我らと共に在り続け、我らを導いて欲しいのです! 貴方様はそれに相応しい、唯一無二で有らせられる御方なのです! 我が滅する前に消えるなど、断じて許しませんぞ!!!」



 そうだろうな~とは思ってたけど、これでハッキリと確信しましたよ。


 この蒼竜ドラゴン、ヤバいぐらいの聖龍イザミン至上主義ファーストだとね……。

 

 

 

 

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