第12話 やっぱり、わかってないかも?

 

 

 遺憾ながら、誠に遺憾ながら、イザミンの呼び方 ”おねかーさん” は一旦保留になりました。即却下じゃないだけマシか……。


『今後の方針、とやらは理解した。ならばまずは名付けからじゃな』


 なつけ……ああ、私の名前か。イザミンには即行で付けちゃってたから、すっかり忘れてた。


「名前ねぇ……。そういえば、私って前世の名前を憶えてないんだよね。これってカミサマに消されちゃってたりしてる?」


『そんな事は無いぞ。 ……ただ、思い出せぬように封印がされておる。妾が干渉して破れはするが……どうする?』


「……今は要らないかな。ただ消すんじゃなくて封印ってのが意味ありげで怖いけど」


 お情けなのか、優しさか。私はまだ完全体ではないとも言えるし、後々なにかに必要になってくるのかね?


「やっぱり名前ってあったほうが良いの? 個人的には必要ないんだけど」


 これは前世の頃からそう。身近な持ち物には多少の好みや執着があったんだけど、私自身となると急に興味が無くなるのだ。


 まずもって、容姿からして普通。というか地味。クラスにすぅっと溶け込み過ぎて、同窓会で会ったときにこんな子いたっけ? って顔されそうなタイプ。


 高校の時なんて、教室と食堂と図書室の三角形が成立するんじゃないかってくらいパターン化してたっけ。


 ……ありゃ? これって、いわゆるってやつかも知れない。あまりにもしっくりしちゃってて、今まで気づかなかったや。


『妾の場合は他に同族がらなんだからという稀有なものでな。今までは ”聖龍” というのが個の名代わりになっておったが、其方そなたという眷属が出来たとあらば話は変わる。より大きな力を得ようとするなら、名が無くてはこの先、儘ならぬぞ?』

 

 

 

 

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