第6話 これがまさかの、大当たり。

 

 

 最初はとてつもなく巨大な岩石なのかと。


 とにかく探査の針が通らない。泉の底のさらに奥深く、ある領域から先へ針が進めずにカツン! という感触と共に、その針自体が消えてしまうのだ。


 おろろ? と針を打つ密度を上げて表面をなぞっていった結果、ダチョウの卵を超々巨大にしたようなシルエットが浮かび上がってきた。その大きさたるや、泉から広がる水辺の外周と変わらないぐらいのもので。


『……誰ぞ? 妾の安らかなる眠りを妨げる者は』


 いかにも面倒くさそうに、その声は私のちっぽけな身体に向かって直接響いてきた。


 涼やかでみやびな音色なのにひどく億劫という真逆の雰囲気を纏わせたその声に、私は即座に死ぬんじゃないかとすら思うぐらいに驚いてしまった。


 こ、心の準備が……!


「……うぅ~、みゃっ、みゃぁ~………」


 とっさに返事をしようとするも、今の私は子猫(?)だからね。普通に言葉を話せるわけもなく。


『??? ………何か聞こえたが、小さ過ぎて判らんぞ?』


「みゃっ!? ……みゃあ! みゃあ!!」


 そりゃあ、こっちだって必死ですよ。相手は地中の奥深く(にいるはず)。届くわけがないと思いつつも、機嫌を損ねられたらどうなるか分かったもんじゃない。か細い鳴き声を張り上げて、届け、この思い!


『……何処の誰だか知らぬがの。お主、じかに声を出しても妾には到底届かぬぞ?』


 そう言われましても……っ。やり方が分からないんです!


『………先程の此方こちらにチクリと当てて来たものがあるじゃろう? それに己の声を載せてみい。 ……ああ、泉の湧き出る辺りで良いぞ。直には鬱陶しくて敵わんからの』

 

 

 

 

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