第4話 改めてみると、便利だねぇ。

 

 

 どうやら私は、不思議なチカラが使える猫のようなもの、らしい。


 この泉を中心にして周囲へ漂っている光のといい、私の胸元にあるだろう心臓ではないといい。


 ここが一体ドコなのかは正直分からない。多分、地球ではない気がする。あくまでもそういう雰囲気がするってだけね。


 あるいは地球とどこかしらの接点で繋がっている異空間で、たまにそこからの干渉で超常的な現象が引き起こされているとか。


 ……これ以上は考えても答えは出なさそうだから、とりあえずこのへんでやめておこう。それよりも、これからの事だ。



 この泉に居続ける限りは食事の心配はなさそうではある。もちろん口があるんだから多少は食べたほうがいいんだろうし、いつまでもここに留まれるとは限らない。


 眠る必要があるにせよ無いにせよ、ひとまず安全を確保できる場所は欲しい。できれば泉から近くて、身を隠せる所……。


 私は木の根元にある窪みからそっと顔を出し、周囲を見回した。


 ここにあるのは、清らかな水と光のもやが同時に湧き出る泉を中心とした水辺。青々しい葉っぱを茂らせた木々。苔むした小さな岩。背の低い草の間にぽつぽつと咲く花。そこに集まる虫や蝶のようなもの。


 さっきも見たカラフルな鳥や、リスのような小動物。このへんまではいいけれど、イタチとかキツネ、オオカミのような肉食獣。ワシやタカ、ハヤブサなんかの猛禽類。はたまたクマのような大型の獣との遭遇は避けたい。


 当然、人間やそれっぽい生物もアウトだろうな。ここが地球じゃなかったら尚更。最初からそういうものがいる前提で考えよう。



 ……ちなみに、周囲の確認をする過程で木が多すぎて邪魔だなぁと思っていたら、注視した範囲の木々が半透明になったり、数百メートルぐらい先までなら物体を無視して見通せるようになりました。もうレーダーだよね、これ。

 

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る