第17話 居なくなりし中筒の友

「愛など不要」

これを中筒に植えつけた出来事とは。


それは、まだまだ、中筒が「神様」になりたてか、まだ卵だった頃の事。


神様になるべく集う学校のような所があり、そこでは、皆がその道に進むべく学びの園だった。


中筒達、三神様も勿論通うわけだ。


そこで、中筒は親友とも呼べるような同士でもあり、友ができる。


彼と中筒は神に成るべく学びながら、ある約束をしていた。


「互いに立派な神になり、また互いに助け合おう」と。


この二人は本当に仲が良く、上筒も底筒すらも羨む位の仲だった。


そんなある時、二人の関係が変わる時が来る。

親友の恋だ。


彼に恋人が出来る。

中筒は、親友が好きになった女性とも勿論、関わるようになる。


中筒から見ても二人は愛し合い、仲睦まじい関係だった。


その時の中筒は

(自分にもいつか友のように愛する人と巡り合うのだろうか。)

そんな風に考えていたのだ。


友と彼女は婚姻の約束をしていた。

しかし、事は進まないのである。


彼の父からは、別の女性を薦められる事になる。

つまりは政略結婚のようなものだ。


勿論、父に抵抗すべく彼は彼女との仲を説得しようとするも、上手くいかず、


そして彼は事もあろうに、判断を誤る事になるのだ。


そう、「自らの死」とも言えるような行為に及ぶのである。


魂は永遠とされる中、「死」とも呼べるその行為は「無」に帰るともなり、二度とは「有」にはなれず、消えて居なくなる。


だが、そう簡単に無になど帰れるものではない。


だが、絶望した彼の精神が無を呼んだ。



最期に置き手紙とも言うような書を中筒は彼の部屋から見つけた。


そこには、恋人へ宛てたものと

親友である中筒に宛てたものが書いてあった。


中筒は自分に宛てた親友からの物を読み、悲しみを通り越し、怒りとなった。


その怒りこそ、

親友の間違った行為を許せなく、そればかりか、「神になるべき者が、する行為ではない!」

と言うものだった。


中筒は考えた。

「愛は判断を誤らせるものだ」と。



その一件以来、中筒は二度と親友の事を口に出す事はなく、

そればかりか、


「愛など不要であり、邪魔だ。」


と言う想いが生まれたのだった。


この中筒の事はわずかな者しか知らず、

今現在の中筒は、次のように語る。

「今でも友の行為は許されるべき行為ではない。

相手が間違っているならば、何故正してやらぬ。また、愛するならば、悲しませるなど言語道断である!」


中筒は今でも悲しみの怒りを抱いている。。。


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