第15話 聡子と中筒

聡子は中筒の様子が気になっていた。

(今までの中筒様とは確実に違うわ。

だけど・・・大丈夫なのかしら?)


聡子が中筒を気にするのもそのはず。

帰ってきてからの中筒は上の空だ。


心ここに有らずな感じな様子が逆に聡子を心配させた。


聡子「中筒様。 お茶が入りましたよ。」


聡子から声をかけられ我に帰る中筒。その姿を見て首を傾げる聡子。

そして、

「りおちゃん、よかったですね。」


聡子から「りおちゃん」と言う名前が出た瞬間、中筒の表情がガラリと変わる。 勿論聡子はその様を見逃さないでいた。


聡子「きっと、中筒様が微笑えまれたのがよかったのでしょう。」

中筒「微笑んだ事がそんなにか?」


聡子は笑って見せた。


中筒は(笑みとはそんなに良きものだったのか・・・)


中筒「ならば、始めから私が笑えばあのように怯える事もなかったと?」


聡子は驚く。そんな事もわからないなど、一体中筒と言う男はどこまで、風変わりなのか。

「そうですね、、、中筒様はいつも難しいお顔されておりますから。

幼いりおちゃんには、恐〜いお顔だったのかもしれませんよ。」


中筒「そうか。

そうだったのか・・・」

ちょっぴり後悔する中筒。


聡子は尚も話す

「お寂しいですね。会えなくなりますと。きっと上筒様も琴音様も、底筒様だって同じでございましょう」


中筒は気になっている事を聡子に尋ねてみた。

「そなたはあの娘が何処の娘か知っておるのか?」


中筒からの質問に素直に答えてやりたい聡子だったが、父に口止めされていた為話せなかった。


益々中筒はりおの素性が気になるのだった。



そうして、また仕事に勤しむ頃、

聡子は父に会っていた。


りおの素性を話してはいけないのは、なぜなのか?

できれば知らせたいとしていたからだ。


「これは我が息子であるジャンと娘のアレンいや、りおの使命であるのだよ。」

聡子「使命・・・ですか。。」


父「さよう、中筒様の感情を育む取り組みなのだ。」


聡子「それにつきましてはわかります。あのように中筒様が変わられましたから。 ですがなぜ素性を明かせないのでしょうか。」


父はそれすらも聡子には言わなかった。

全ては計画の元進められていたからなのだった。



聡子は中筒を想う。

(何かりおちゃんに関して話して差し上げられたら・・・どんなにお喜びになられることか。。。)


聡子は俺に会いたがり父に何処に居るのかを尋ねたが、使命により他所に居ると父は告げた。


(ジャン。。あなたに会いたい。

会って中筒様の良き姿を話したいわ。)

そう思う聡子だった。。。


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