第10話 中筒の苛立ち
中筒は一旦聡子の元へ帰ってきた。
いっときの休憩だとし、上筒と底筒に話し、帰宅したのだ。
上筒は、胸中穏やかになれない中筒をずっと見てきた。
それは、底筒も同じだ。
二人はりおを相手にしながら、尋ねて見る事に。
上筒「りお。ちょっと尋ねても良いか?」
りおは、頷く。
上筒は、りおに中筒の事は嫌なのかを尋ねてみた。
その問いかけに、かなり戸惑うりお。
普段から、ほとんど口を開かないりおに底筒は
「無理に答えなくてもいいからね。」
と言い、頭をなでた。
りおは一言だけ二人に言う。
「好かれない。」
たった一言だが、これが何を意味するのかが、上筒には直にわかったようだ。
直に琴音を呼び、話す。
りおは少し眠くなり上筒に抱かれてうとうとと眠っていた。
一方そんな頃、中筒はと言えば・・・
「なぜに、あの娘は私には懐かぬのだ!、、、いったい、私が何をしたというのだ?!」
苛々し、聡子に尋ねていた。
聡子はお茶を入れながら、中筒の愚痴を聞いている。
「聡子、そなたは見ておるのであろう。父上方々と。育成の様子を。」
聡子「ええ。。見させて頂いておりますわ。」
中筒「ならば、なぜなのだ?
私と上筒は何が違うと言うのか!」
あまりの剣幕に聡子は逆に驚く。
(中筒様のこんなお姿、見た事がないわ。。。)
聡子「では、中筒様。
もう少し、優しくされてみては如何でしょう。
少し微笑まれましたら、優しく見えましょう。」
聡子に言われても、その意味が中筒にはわからないようだった。。。
そうして、中筒はまた住吉邸へ。
そして、いよいよやって来るのだ。
そう、あの二人が。
ゆうとセリである。
住吉邸に来る前。
二人は父達に挨拶をしに来ていた。
聡子はセリに会え嬉しいようだ。
しかし、今の中筒には不安を覚えていた。りおだけではなく、セリも中筒に怯えはしないだろうかと。。。
ゆう「りおちゃんの事は、いろいろと解りました。セリと一緒に最善を尽くしてきます。」
父「よろしくお願いする。」
ゆう「はい。」
聡子はセリに話かける。
「辛くなったら直ぐに帰ってきてね。いい?すぐよ。」
セリ「大丈夫ですから。」
ゆう「大丈夫です。」
二人はそう言い残し住吉邸へ。
上筒はやって来たゆうとセリを出迎えた。
りおは上筒と手を繋ぎ二人と対面する。
そうして、中筒と底筒が待つ居間へと通される。
ゆう「ご無沙汰しております。
中筒様。底筒様。」
軽く挨拶を交わすと、上筒より早速、りおの側にゆうとセリは促された。
上筒の側で固まるりお。
全く口を開かない。
そればかりか、上筒の手を握る力が強くなる。
上筒は、そっとりおの耳元で
「大丈夫だ。恐くないぞ。」
そう言い微笑む。
ゆうとセリはその様子を見て、
(なるほど。。。)
そう、思った。
中筒はその様子を見ながら
(やはり、私以外でもあぁなのだ。
ゆうとセリに何ができよう。。。)
しかしここで、りおはセリに自ら触れてみた。
セリは自分の手に触れたりおの手を握る。
何か安心したのか、りおに笑顔が見られた。
中筒は
「ん?、、、?」
奇妙に感じていた。
そして、底筒に小さな声で尋ねる。
「あれはどういう事か?なぜセリに笑いかけるのだ?」
底筒「女の子だからかな?」
底筒からの意外な返事に中筒の思考は止まるのだった。。。
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