第9話 中筒男命の誤算とは。。

中筒とりおの様子を見ていた聡子は、りおの気持ちが理解出来る気がした。


「あんな気難しいお顔されたら、それは恐いわよね。」


そう言う聡子からは、中筒と婚姻して初期の頃を思い出すようだ。


りおは中筒の内側の何に対してあんなに怯えるのか。

俺はりおから感じている。


中筒は決して、いやらしくはない。

だが、中筒の無感情さに、りおは怯えていた。

何も感情が無いだけにりおから見て

「この人は自分に危害を与えるのではないか。」

そんな警戒心があったのだ。


その事を聡子に話す。

すると彼女からは、

「なぜそんなに、りおちゃんの内側がわかるの?妹だからなの?」


聡子は不可思議なようだった。。。




中筒は上筒と底筒に話していた。

「私がここにいる意味がわからぬ。

ミナカヌシ様に私を抜けさせて頂くよう、願い出ようと考えている。

りおはそなた達に任せるつもりだ。」


中筒はりおを育てるより、自分は元へ帰り他の育成に力を注ぐ事を考えていたのだ。


底筒からは、

「帰るにしても、もう暫く様子を見てからでもいいのではないかい?」


上筒「それに、二人ゆうとセリがこちらに来て、育成に加わると聞いている。」


中筒「な、なに?

あの二人が来ると言うのか?」


上筒「そうだ。何かの役にたつと、ミナカヌシ様からだ。」


中筒は不思議だった。

(なぜ、りおの育成に自分達が必要であり、ゆうまで借り出されるのだ?)

どうも納得がいかない。


中筒「あの娘は何処の娘なのだ?

何故にこのような形での育成をせねばならん。」


底筒「何処の娘かなんて聞いてはいないけど・・・確かに。でも、他国の娘だよね、きっと。」


底筒からの「他国」と言う意外さに目が点の中筒。


上筒はその中筒の様子をまじまじと観察する。


中筒「た、他国だと?」


底筒「だって、どう見たってあの容姿。 髪も、瞳も日本じゃないだろ。あんな綺麗な碧。

あれ? 中筒は気付かなかったかい?」


そうなんだ。

誰がどう見たって容姿が日本とは違う。紛れもなく、りおは名前こそ、日本だが、風貌は他国だ。


だが、中筒はそれすら意識はスルーだったわけで、

どんだけ相手に関心がないのかがよくわかる。


初対面の時もさっさと自分の部屋に籠もっていたな。。。


その時の中筒は

(育成など。難しくはないだろう。)

そう考えていた。

何故なら、自分の経験からそんなにも、ややこしい教え子などいないからだった。


ところが、自分より先に上筒がりおを独占した事で中筒の胸中はなんだか、ザワザワしていたのだ。


つまりは、

中筒は自分に自信があり、自分が育成すれば良い。

そんな風な気持ちがあったようだ。

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