第2章

第18話 二人の時間がなくなった

 放課後、今日も今日とて俺は空き教室で女子生徒と対面し恋愛相談に乗っていた。


 そして今、今日最後の恋愛相談を終え女子生徒が教室から出て行き、その後すぐ別の女子生徒二人が教室内へと入っきた。


 蓮見と三鼓だ。


「今日もお疲れだね〜。パパッと悩み解決しちゃった?」

「そんな簡単に解決できたら恋愛相談なんて誰もしてこないだろ」

「まあそれもそっか」

「お疲れ様。旭日君」


 その可愛らしい顔で微笑みながら労いの言葉をかけられると、やはり三鼓は学校1の美少女なのだと思い知らされる。


 普通の男子生徒であればこの微笑みに射止められてしまうのだろうが、俺には蓮見がいるので射止められることはない、とかなんとか言ってるけど以前は三鼓のことが好きだったんだけどな。


 三鼓が片桐先輩と別れてから僕と蓮見が二人で会うことはなくなり、蓮見と三鼓、そして僕の3人で一緒にいるようになった。


 三鼓と片桐先輩が別れてから1ヶ月が経過するが、毎日のようにこうして3人で集まり蓮見からの恋愛相談や普段の何気ない話をしている。


 クラスで1番可愛い女子生徒と、2番目に可愛い女子生徒がこうして毎日のように放課後僕の元に訪れて同じ時間を過ごせるなんて少し前の俺に話しても信じてもらえないだろう。


 とはいえ、俺的には蓮見と2人で遊ぶ時間もほしい。


 もちろん三鼓が邪魔とかそんなことを言いたいのではなく、ただ、たまには好きな人と一緒にいたいと、そう思っているのである。


 って何贅沢言ってんだよ。


 今の状況で十分幸せなのに、蓮見と二人でいたいだなんて欲張るな俺。


 俺の浅はかな考えのせいで今の関係が崩れ去る可能性もある。


 今はただ、こうして3人で一緒にいる時間を楽しめるならそれでいい。


「どうしたの? なんか難しい顔してるけど」

「……なんでもない」


 それから俺たちはしばらく3人で会話を続けた。






「もうそろそろ暗くなりそうだし、帰ろっか」

「そうだね〜。遅くなると危ないしね」


 三鼓の言葉で俺たちは帰宅することになった。


 辺りはオレンジ色に染められ、もうすぐ日が暮れる。


「先に行っててくれ。今日も掃除してから帰るから」

「毎日律儀な男だね旭日君は。それじゃあ先行ってるから」

「いつもありがとね、旭日君」


 そう言って二人は教室を出た。


 僕はこの空き教室を使用し終わった後、毎日掃除をしてから帰宅するようにしている。


 無断で使用していることに対する罪滅ぼし的な意味もあるが、いつも使わせてもらっているのだから綺麗にするのが礼儀ってもんだ。


 最初はもちろん蓮見と三鼓も手伝うと言ってくれたのだが、俺が断固として拒否した。

 女の子に手伝わせるわけにはいかないし、何よりそれが恋愛マスターとしてのプライドなのである。


 そんなこんなで掃除を始めて5分程が経過し、掃除道具をしまおうとしていた矢先、教室の扉が開く。


 まさか先生か⁉︎


「先生すいません‼︎ 毎日無断でこの教室を使ってるのは悪いと思ってるんですけど--」

「何言ってるの?」

「……え?」


 てっきり先生だと思い込んで喋っていたが、教室に入ってきたのは先生ではなく蓮見だった。

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