第2話 呪いと求婚の真相

「その呪い、やはり強力なものだね」

「──っ!」


 真剣なジェラルドの碧眼が捕らえてシェリーを捕まえた。


「その呪いはいつ埋め込まれたんだい?」

「9歳の時です。迷子になってしまった弟を探しに森に入ったときに、魔女につけられました」

「それは黒いフードを被って背は高め、そして血のような赤い目をした女じゃなかったか?」

「どうしてそれを?!」


 シェリーの記憶の中の魔女をそっくりそのままを言い当てたジェラルドは、自分の胸元をはだけさせてシェリーに見せる。


「──っ! それって……」

「ああ、君も同じところにあるんじゃないか?」


 シェリーは自分の胸に手を当ててそっと頷いた。

 彼女がジェラルドの身体を見ると、肩から鎖骨にかけてシェリーと同じような禍々しい呪いのそれがあった。


「ジェラルド様もまさか呪いが……」

「ああ、私も10歳の時に魔女に呪いをかけられた。この呪いは王宮の一級魔術師でも解き方がわからなかった。だから、私はあの時の魔女をずっと追っている」


 シェリーはそれを聞いて自分の呪いが簡単に解けないことを知り、目の前が真っ暗になる。


(やっぱりこれは簡単には解けない呪い……)


 すると、ジェラルドははだけた肌をさっとしまうと、シェリーのほうに再び向き直って話し始める。


「この呪いは徐々に胸まで進行していっている。おそらくこれが胸、心臓に到達した時には……」

「では、ジェラルド様も私もこのままでは生きられない……?」

「おそらく。だから急いでこの呪いをかけた魔女を探している」


 シェリーは急に手が震えて唇を噛んだ。

 それをジェラルドはそっと優しく握って安心させるように微笑む。


「大丈夫、必ず君のことは僕が守るよ」

「ありがとうございます」

「君を早くに見つけられてよかった。今はまだ助けてあげられないけど、絶対に救ってみせる」

「ジェラルド様……。でもどうして私が呪いにかかっているとわかったのですか?」

「たまたま社交界で君の存在を見かけてね。廊下でメイドの子とこそっと呪いのことを話す君を見たんだ。それでセドリックに調べさせたら間違いなさそうだったから」

「そうでしたか……。でも、私はまわりを不幸にしてしまうんです。だから……だから陛下のことも……」

「君が不幸を呼ぶなんて、むしろ私を不幸にできるものならしてみなさい」


 その言葉は家族に虐げられたシェリーの心を癒した。

 そして、彼女はそっと涙を流した──

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