第24話 ゲーム配信

「皆の衆!ボケモン、始まるよ!」


≪ボケモンキタ≫

≪めっちゃくちゃ楽しみ≫

≪課金しよ≫


今日はゲーム配信だ。

最近発売されたばかりのボケモンという人気ゲームをクリアするまで配信する。

何時間かかるか、わからない。


「ふふ。アル様も嬉しいでしょ?」 


亜美が膝の上にある俺の頭を撫でた。

俺はこれから何時間も、裸エプロンの亜美に膝枕されてないといけない。


「クマクマー!」

「いい子いい子」


《アル様、かわいい♡》

《うらやま》

《クマクマー好き》


ボケモンでは、最初に、相棒となるボケモンを3匹の中から1匹だけ選ぶ。


「皆の衆!どれがいい?」


コメント欄がめちゃくちゃ荒れ始めた。

ココロナナシがどのボケモンを選ぶか、生死をかけた戦いだ。


「皆の衆!喧嘩しないで!」


ふう……どうやら自分で選んでくれるらしい。

よかった。さっさと選んでゲームを進めてほしい。


「よおし!アル様に選んでもらおう!」

「え、俺が……」


バシ!


「おわ!」

「こら!クマクマーでしょ!」


いきなり強烈なビンタが飛んできた。

すげえ痛てえ……ガチのビンタだ。


「く、クマクマー!」

「よしよし♡」


亜美はビンタして赤くなった俺の右頬を撫でた。


《調教キタ》

《俺にもビンタして!》

《アル様、人間捨てきれなくて好き》


「ごめん皆の衆!じゃあ、アル様、ボケモンを選んで!」


俺は画面に映る3匹のボケモンと向き合う。

どれがいいかな?

なるべく、ココロナナシのキャライメージに合ったボケモンを選ばないと。


炎タイプのカメ、水タイプのネコ、草タイプのワニ。

この3匹の中から俺が選ぶ。

うーん……ココロナナシはかわいい美少女Vだから、やっぱりネコのボケモンかな。


「クマクマー!」


俺はネコを指さした。


バシ!


またビンタが飛んできた。


「ぶぶー!はずれ!選び直しなさい!」


《ココロちゃん、理不尽で好き》

《もっとビンタ見たい!》

《アル様うらやま》


今のビンタがウケたのか、同時接続は20万を突破している。


「クマクマー!」


草タイプのワニを指さした。

俺は目を閉じて、ビンタに耐える準備をした。

また俺をビンタして、もっと同時接続を稼がないと。


バシバシ!


「ぐえ!」


今度は両手でビンタが来た。

しかもさっきより全然痛い……


《いい音だ》

《もっと強く!》

《アル様泣いちゃうかも 》


痛いけど……同時接続はうなぎ登りだ。


「クマクマー!クマクマー!」


俺は喜んでみせる。


《アル様喜んでいる》

《ドMじゃん》

《もっと痛くして》


リスナーのみんなが楽しんでくれている。

俺がビンタされれば、盛り上がる。

マジでよかった。


俺は最後の1匹、炎タイプのカメを選んだ。

一番、ココロナナシぽっくないボケモンだ。


「よくできました」


亜美は痛々しく赤くなった頬を優しく撫でると、俺にキスをした。


「ううん……」


すげえ甘い味がする。

気持ちいい……


《ご褒美のキス!》

《アル様のアヘ顔キタ》

《尊い。もう死にそう》


同時接続は、すでに30万を突破していた。














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