第19話 トップVtuber事務所に入る

「さあ、着きましたよ」


俺はリムジンから降りた。


東京の一等地にある大きなビル。

ここに、Vtuber界でトップの事務所「ごじろくじ」が入っている。

普通の高校生には立派すぎる場所で、俺は恐縮してしまう。


「社長が待っています」


社長か……

会って何を話せばいいのやら。


俺は天流さんに連れられて、ビルの中に入っていく。

エレベーターに乗って、事務所のある20階へ。


「翔ならきっと大丈夫です。社長はすごく翔くんを高く買ってますから!」

「ありがとう……」


励ましてくれるのは嬉しいけど、余計にプレッシャーがかかるぜ。


「ぶほ!」

「大丈夫……翔は大丈夫」


亜美は俺を抱きしめた。

胸に俺の顔を埋めた。

柔らかくて暖かい。

いい匂いがして安心する……


「ふふ。元気になりました?」

「うん。ありがとう」

「私も翔成分を補給できてよかった♡」


エレベーターを降りると、オフィスの前でスーツ姿の女性が立っていた。


「はじめまして。私はごじろくじの社長の黒崎奏(くろさきかなで)です。最強勇者アルスの……影川翔くんね」


艶やかな黒髪に、すらりと細身の女性だ。

歳はたぶんアラサーくらいかな?

胸が大きくてワイシャツがぱつぱつになってる……

大人の女性って感じでドキドキしてしまう。 


「奥で話しましょう。今日はいろいろ影川くんと話したいの」


俺は事務所の奥の部屋に通された。

ふかふかのソファーに座った。

隣に亜美が座る。


「今日は来てくれてありがとう。聞きたいんだけど、どうしてVtuberを始めたの?」

「ど、どうして……?」


改めて聞かれると、なんて答えればいいかわからない。

ただ……陰キャの俺がVtuberでなら人気者になれると思っただけだ。

それに、今隣にいるココロナナシ……天流亜美が「Vtuberなら陰キャでも輝ける」と言ったからだ。

この言葉に、俺は勇気をもらったんだ。


「それは……Vtuberなら陰キャでも輝けるからです」

「なるほどね。ココロナナシがきっかけなんだ」

「そうだったんですか!嬉しいです!」


隣にいる亜美が喜んだ。


「なら、もう決まりね!」


黒崎さんが手を叩いた。


「決まりって?」

「影川くんには、正式にココロナナシのペット、アル様として、うちの事務所からデビューしてもらいたい」

「え?」


突然のデビュー決定に、俺は驚いてしまった。


「影川くんはココロナナシが好きなんでしょう?それなら何も問題ないでしょう?」

「そうですけど……」

「アル様はとっても可愛いんです♡アル様とコラボすると、再生数もスパチャもすごいんです!いいことしかありません!」

「よし!決まりね!」


俺を置いてきぼりにして、デビューが決まった。

ココロナナシの、正式なペットとして。




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【★あとがき】


モチベになりますので、


よろしければフォローや星をいただけますと嬉しいです。


新作を書きました。


「渋谷で金髪ギャルを助けたら、津軽弁でデレてきて可愛いすぎる。何を言っているかわからんが、イケメン医大生彼氏を捨てて俺を溺愛したいらしい」

https://kakuyomu.jp/works/16817330649919865939


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