第11話 陰キャの成り上がり

「なんで影川と天流さんが一緒にいるんだ?」

「マジであり得ねえ!」


生徒たちの話し声が聞こえてくる。

みんなは俺と天流さんが一緒にいることが信じられないみたいだ。

まあ……想定内の反応だ。

俺みたいなクラスカースト底辺の陰キャが、カースト最上位の天流さんと歩いているんだもんな。

俺自身でさえ、まだ信じられないぜ……


「私たち、注目されてますね」


隣を歩く天流さんが笑った。


「天流さんはいいの?俺みたいなのと一緒にいて?」

「私が影川くんと一緒にいたいのです。それに、お母様と約束しましたから。影川くんを守ると」

「お母様はやめてくれないかな……」

「うふふ。手を繋ぎましょうか?」


天流さんはイタズラっぽく笑った。


「え?」

「教室まで手を繋いで歩きましょう!みんなに影川くんのこと、見せつけてやります!」


俺は天流さんに手を握られた。

白くてきれいな手だ。

天流さんの体温が手を通して伝わってくる。


女の子と手を繋ぐなんて、幼稚園以来だ。

すげえドキドキする。心臓が飛び出しそうだ。


「見ろよ。影川と天流さんが手を繋いでる!」

「俺の女神様があああ!」

「陰キャのくせにムカつくぜ……」


天流さんは別名「女神様」と呼ばれている。

今まで、たくさんの男子が女神様に愛を告白して、玉砕してきた。

俺をハメた陽キャグループにも、玉砕した奴がいたな……


「私は隣の教室ですから」

「あ、そうだね」


俺と天流さんは教室の前に着いていた。

いろいろ考えていて、ぼうっとしていたぜ……


「ずっと手を繋いでいたいですけど……またお昼休みに会いましょう」

「うん。また昼休みね」


天流さんとランチか……

いつもぼっち飯の俺は、今から緊張していた。


◇◇◇


俺は天流さんと別れて、自分の席に座った。

ふう……今日は朝から疲れたぜ。

授業が始まるまで、机に突っ伏して寝ようとすると、


「おい!影川ー!」


クラスメイトたちが俺の机を取り囲んだ。


「どうやって天流さんと仲良くなったんだよ?」

「女神様とはもう付き合ってんの?」

「昨日の配信を見たよ!すっごく可愛いかった♡」


昨日まで俺の存在を無視していたクラスメイトたちが、競って俺に話しかけてきた。


「影川!お前マジすげえな!今度俺たちと遊ぼうぜ!」


俺をハメた陽キャグループの連中も、ニコニコしながら絡んできた。

露骨な手のひらの返しぶりに苦笑しつつも、人からチヤホヤされるのは正直嬉しかった。

こんなに人から注目されたのは生まれて初めてだ。


「ねえ。翔……」


意外な人物が俺に話しかけてきた。


「おはよう。遥」


俺を弄んでフッた幼馴染の遥だ。

今更俺に、何の用があるんだ……?


「ちょっと来て」

「え?でも、もうすぐ授業が……」

「いいから来て!」


俺は遥に腕を引っ張られて、教室の外へ連れ出された。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【★あとがき】 


モチベになりますので、


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