第8話 一夜にしてトップVへ

「影川くんとのコラボ、とっても楽しかったです」


天流さんはすごく満足げだ。

めっちゃくちゃ嬉しそうな顔をしている。


「見てください。さっきの配信で登録者数が100万人も増えました」


ココロナナシの登録者数は300万人だったが、今は400万人になっている。

すげえな。トップVがコラボすると、こんなに増えるのか……


「影川くんのほうも、すごく増えてます」

「え?」


俺はスマホで自分のアカウントを見た。

我が目を疑った。

最強勇者アルスの登録者数が、なんと100万人に!

しかも、たったの1時間で。


「嘘だろ……きっとバグに違いないです」

「残念。嘘じゃありません。さっきの配信で登録者数が爆伸びしたのです。これで影川くんもトップVの仲間入りですね」

「信じられない……」


頬をつねってみたけど、夢ではないらしい。

Twitterでも「アル様」がトレンド入りして、フォロワー数ら一気に10万人突破していた。

早くも切り抜き動画が作成され、再生数は100万回を超えている。


「影川くんの才能に、世界が気づいたのです。私のアル様のかわゆさが認められたのです」

「いやいや、俺の才能じゃないですよ。天流さんのおかげです。俺はただ、一緒にいただけですから」


実際、すべて天流さんの実力だろう。

俺はただ天流さんの為すがままにされただけだ。

ペットのアライグマとして。


「影川くんは謙虚ですね。でも、影川くんは自分の才能に自信を持ったほうがいいと思います。あんなに可愛いアライグマになれるんですもの」

「あ、ありがとう……」


これは喜んでもいいのかな?


「これからも、ココロナナシのペットとして、コラボしてもらえますか?」


天流さんは俺の手を握って、目を潤ませながらお願いしてきた。

「ペットとして」の部分が引っかかるが、学校一の美少女の頼みを断れるわけもない。

それに、想像とはだいぶ違ったけど、コラボして楽しかった。


「ぜひ……俺でよければ」

「やったあ!アル様!大好きです♡」


天流さんは俺にぎゅうと抱きついた。

柔らかくて大きなおっぱいが、俺の胸に当たる。

またコラボすれば、ここに顔を埋められるだよな……

正直に認めよう。次のコラボが楽しみすぎる。


「ひとつだけ、大切なお願いがあります」

「何ですか?」

「私がココロナナシの中の人であることは、学校では絶対に秘密にしてください」


天流さんは大財閥のお嬢様だ。

きっと事情があるんだろう。


「わかりました。約束します」

「あと、もうひとつ」

「いいですよ。あと3つくらいなら」

「……私と、恋人になってください!」

「え⁉︎」

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