第1章

第4話 美少女といきなりオフコラボ

≪今、メッセージで私の家の地図を送りました。マップのアプリで開けます!≫

≪家……?このままスカイプでコラボじゃ……?≫

≪ごめんなさい!私とのオフコラボ、嫌でしたか?いきなりオフコラボなんて厚かましいですよね……≫


天流さんのすごく落ち込んだ声が聞こえた。

コラボやる前から、ガッカリさせちゃマズイな……


≪全然そんなことないです。オフコラボしましょう!≫

≪ありがとうございます!最強勇者アルス様とコラボできて、もう死にそうなくらい嬉しいです♡≫


めっちゃくちゃ嬉しそうな高い声だ。

今まで、誰かにここまで喜ばれたことはなかった。

だから俺も嬉しくなる。


俺はいったんスカイプを切って、家を出た。

俺の家から天流さんの家まで、歩いて10分くらいだ。


実は……俺は地図を見る前から天流さんの家がどこにあるか知っていた。

ていうか、街で天流さんの家を知らない人はいない。

普通の住宅街の中に、学校より大きい豪邸があるのだから。どうしても目立ってしまう。


要するに、天流さんは超金持ちのご令嬢ってわけだ。

五大財閥の一つ、天流グループの社長の娘。

俺みたいな庶民とは、住む世界が違う。


そんなことを考えているうちに、天流さんの家の前に着いた。

高い塀に囲まれた大豪邸だ。

大きな門があって、守衛さんまでいる。


勢いでここまで来たけど、今から学校一の美少女の自宅に乗り込んで、オフコラボするんだよな……


俺はTシャツに短パンの格好。

もっといい格好してくればよかったぜ。


あ、ツイッターにDMが来ている。


≪守衛さんには話を通してあります。名前を名乗れば中へ入れてもらえます≫


ヤバい……だんだん緊張してきた。

俺はもともとコミュ障だ。

金持ちの豪邸というアウェーで、まともにコラボできるのか……


俺は守衛さんに来訪を告げた。

入念なボディーチェックの後、敷地の中へ入れてもらう。

ボディーチェックまでされたのは、もちろん人生初めて。

まるで映画の世界だ。


学校の校庭ぐらい広い中庭だ。

池にはコイが泳いでいる。

ザ ・金持ちの家って感じだ。


「最強勇者アルスさんー!」


天流さんが走ってきた。


「はあはあ……わざわざ来ていただいてありがとうございます。さっそく私の部屋でコラボしましょう」


相当焦っていたのか、かなりテンパってる。

ブロンドの髪が少し乱れていた。


「アルスさん、じゃなくて影川くんとなら、素晴らしいコラボができるんと思うんです。すっごく楽しみです」

「俺も、楽しみです」

「本当ですか?本当に私とコラボするのが楽しみですか?」


 天流さんは俺の手を握って、ずいっと顔を近づけてきた。

 距離感がわからず、俺は少し戸惑った。


「はい……本当ですけど」

「やったあ!」


天流さんは満面の笑みで喜んだ。


汗ばんだ白いワンピースの下から、たわわな胸が少しだけ透けて見えた。

二つの大きな丘の形が、ワンピースにくっきりと浮かび上がる。


……あまり見ないようにしないといろいろ大変だ。


「実は私、友達を自分の部屋に入れるの初めてなんです……ちょっと片付けてくるんで待っていてくださいね」


パタパタとまた天流さんは走って行った。


「おい。そこの下賎な庶民。我が家の敷地で何をしている?」


後ろから女の子の声がした。

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