銀の角
ゆり呼
第1話 一方的な、狩りのよう…
「ラーフェス! ラルフェ! ラース!!」
マレーンの声がした。
彼女は多くの名でぼくを呼ぶ…。
…ここには、もうぼくとマレーンしかいないのに…。
「ラルフェ・デミグリアス! 宇宙船が来たわ!」
(あざやかな宇宙船[紅飛鳥-べにひちょうー]のイメージ。そして彼女の故郷。)
それは彼女の心いっぱいを占めている。
「ラーフェ! ーああ、ここね。ここよ、ねえ、来たわ、レストム(異世界の人々)が」
ーああ、わかるとも。そのため君の頬はバラ色、君の青の目は輝き、
黒色の髪は宇宙まで舞い上がってしまいそうだ。
「ラーフェ…? 具合悪いの?」
ー心配しないで。君の言葉は聞こえているよ。紅飛鳥もレストムも。
「! そう、よかった。待っててね、今、鉱石を取り替えてあげる」
マレーンはぼくの額の銀の角に手を延ばし、その角にはめ込まれた鉱石を取り替えた。
(ーあざやかなーあでやかなー紅ー鳥ー鳥ー小さな…)
ーねえ、異世界の人々は、互いを見つめるよ。光をうつす目があるんだね、君みたいに。
…今や君を通してしか世界を見れないぼくと違って。
「ラース…。そうよ…耳や鼻だってあるわ。人間ですもの。あなただってー!」
ー人・間…この角のついためしいの馬が? ーごめん、もう、言わない。
(紅飛鳥がとけていく。かわりに、七年も昔の、闇の構成。)
ぼくたちの額についた銀の角求め、大挙としてやってきた、レストムの宇宙船団[紅飛鳥]。
空は宇宙船でいっぱい。陽の光もさえぎられ、まるで月のない夜のよう。…そして、一方的な、狩りのよう…。
攻撃は突然やってきた!
(切り裂くいなづま、はじけるぼく…涙…)
ぼく以外のぼくたちは滅び、ぼくの目は、あの日、あの光に潰されてしまった。
ーねえマレーン、彼等、なにしに来たと思う?
「何って…」
彼女は少しためらった。
(切り裂くいなづま、はじけるぼくー)
「この星に来た人のすることって、一つよ」
ーふふっ。そうだったね、ぼくをつかまえに来たんだね。
マレーンの心が閉じた。
「あなたを、ではないわ! あなたについた…銀の角を、…」
ーそれが違うかい? マレーン、ごめんよ、ごめん。
ーなかないで、もう言わないよ、ぼくは、ここにかくれている。
ーもっておゆき、ただし、ひとかけだけね。ぼくも要るんだ。
光が、ぼくを包んだ。
「ありがとう! ラルフェ!あなたやっぱり〃光の子〃ね」
彼女はパタパタと足音をたててそれを持って外へ飛び出していった。
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