花嫁修業
修二は朝目覚めると、昨日のことが夢であってほしいという願いもむなしく、胸のブラジャーの感触とピンクのネグリジェが夢でなかったことを教えてくれた。
ベッドから起きて、トイレに入った。用を済ませているためにネグリジェの裾をまくり上げてショーツを下ろした。男にはなかった作業に、気持ちが沈む。
トイレを済ませて、洗面台で顔を洗ってリビングに入ると、すでに母は起きていた。
「修二、ちゃんと洗顔後に化粧水塗った?」
母が確認してきた。昨日のお風呂あがりにお肌のケアを母から習った。髪を洗う時もコンディショナーを使ったし、女の子になって一気にやることが増えてうんざりした。
「ほら、朝ごはん作るの手伝いなさい。」
母に促され修二は母と並んで台所に立つ。包丁を握るなんて、高校の調理実習以来久しぶりだ。
母に習いながらご飯と味噌汁、卵焼きの朝ごはんができたところで、父と兄が起きてきた。4人揃ったところで朝ごはんを食べ始めた。
「もうちょっと大根の形を揃えないとな。こんなんじゃ、本部長様は喜ばないぞ。」
父が感想をのべたが、修二は無視した。
朝ごはんを終えた修二は、ネグリジェからピンクのプルオーバーと黒のスカートの部屋着に着替え、掃除を手伝った。手伝っている最中に、母から歩き方について注意が入った。
「そんなにガニ股で歩かないの。もうちょっと女の子らしく歩きなさい。」
「女の子らしい歩き方って?」
「平均台を歩くように、股を開かずにまっすぐ歩くの。」
やってみると骨盤など体のつくりの違いのせいか、意外と難しい。意識している間はできているが、気を抜くとすぐに男の歩き方に戻ってしまう。そのたびに母から注意がはいる。
掃除に引き続き、洗濯も手伝いながらやり方を習った。洗濯なんて洗濯機にまとめて入れればいいやと思っていたが、洗濯表示なんて今まで気にしたことはなかったし、手もみ洗いや洗濯ネットなんて存在自体知らなかった。
そのあとも化粧のやり方や女性らしい仕草などいっぱい覚えることが多く、今までとがらりとかわった生活に、修二は休日にも関わらず疲れ切ってしまった。
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