第142話 食材選びに清華も参戦

「る、瑠美夏。ちょっと入れすぎじゃない?」

 お菓子売り場に来た僕と瑠美夏だけど、瑠美夏がお菓子を手当たり次第にぽいぽいとカゴに入れてくる。

「みんな来るから、たまにはいいでしょ?」

「でも、瑠美夏の家にまだお菓子あるんじゃない?」

 僕は普段、お菓子はあまり食べないから買いだめはしてないけど、瑠美夏の家には確かあったはずだ。それを食べたらいいんじゃないかな?

「リュータとコータが来るのよ? コータはわからないけど、リュータは普段からよく食べるんだから大丈夫よ」

 確かに竜太はめちゃくちゃ食べる。お昼もコンビニのパンを五つくらい食べるし、それでも部活が終わったら「腹減ったー」って言ってるって聞いたことがある。

 康太はどうなんだろう? 部活はやってないっぽいけど、よく食べそうな気がする。

 でも、初めて二人でハンバーガーショップに行ったときはあまり食べてなかったような……。あの時は謝罪の気持ちが強く出てたからかな?

 僕はチラッと康太を見る。

 すると、康太と清華が話をしている。

 会話の内容は聞き取れないけど、康太……あんな優しい笑顔で清華を見ていて、清華はちょっとびっくりしている。

 僕はそこでカゴに視線を戻した。

 康太は一体、清華に何を言ったんだろう?

 あんな優しい笑みをするくらいだもん、きっと大事な話をしているはずだけど……。

「きょーへー?」

「え?」

 隣にいる瑠美夏に声をかけられ、僕は瑠美夏を見る。

 すると、瑠美夏はすぐ近くで僕の顔を心配そうに見ていた。

 ちち、近い! 多分十センチあるかないかくらい近いよ!

「どうしたの? 後ろを見て」

「な、なんでもないよ! あはは……」

 瑠美夏の顔がなおも近い。すごくドキドキする。

 なんとか笑って誤魔化したけど、瑠美夏は首を傾げていて、それからさっきまで僕が見ていた方を見る。

「あ」

「え?」

「恭平さん!」

 瑠美夏が何かに気づいたみたいに声を出したから、僕もまた後ろを見たら、その瞬間にいつの間にかこちらに来ていた清華が僕に声をかけた。

「ど、どうしたの清華?」

「その……わたくしも一緒に食材選びをしたいと思いまして……いいですか?」

「も、もちろんいいよ。お願いね清華」

 清華の頼みを断るつもりなんてなかったけど、気のせいかさっきの清華の言葉には気合というか……決意みたいなものが含まれているような気がした。

「っ! はい! 任せてください! ……えへ♡」

「っ!」

 ただ一緒に買う物を選ぶだけなのに、いつも以上のへにゃり具合と可愛さに、僕の心臓はドキドキと高鳴っていた。

「瑠美夏さんも……いいですか?」

「当たり前でしょ? というか遠慮なんて無用よせーか」

「……はい!」

 うんうん。瑠美夏の言う通り遠慮なんてしなくていいのに。もうそんなのは無用な関係なんだからさ。

 僕は瑠美夏の言葉に内心で頷きながら、清華が食材選び……というかもうお菓子選びに清華が加わるのを歓迎した。

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