第3章 僕たちの関係に納得いかない学校の生徒たち
第118話 二大美少女のイチャイチャ
クラスマッチから二週間ほどが経過した六月中旬のあるお昼休み。本格的に梅雨に突入し、この時期特有のジメジメした気候に少しげんなりしつつ、僕はお弁当を食べていた。
「にしても、このジメジメはなんとかならねぇのか?」
「梅雨だからね、仕方ないよ」
竜太が制服のシャツを仰ぎながら言った。イケメンだからそんな仕草も様になっている。
今日の昼食は、竜太とクラスメイトの男子二人の四人で食べていた。清華は女子のグループと一緒に食べていて、瑠美夏は教室にはいない。
あのクラスマッチ以降、こうしてクラスの男子と一緒にお昼を食べることが増えてきた。最後の逆転シュートを決めたことで、僕に話しかけてくる人が増えたのだ。
「なあなあ」
一緒に昼食を食べているクラスメイトが僕に話しかけてきた。
「どうしたの?」
「上原のその弁当……自分で作ってるってマジなのか?」
「え? そうだけど……」
以前、別の男子と一緒に昼食を食べた時に弁当について聞かれたことがある。どうやらその男子的には弁当のクオリティが高くて気になったみたい。
クオリティ、高いのかな? いつも作ってるけどいまいちわからないんだよね。
「マジかよ!? お前すげーな! めっちゃ料理男子じゃん!」
「俺の幼馴染を甘く見んなよ! 恭平は料理だけじゃなく、家事全般が得意なんだぜ?」
「ちょっと、竜太!?」
竜太がすかさず横から割って入ってフォローをしてきた。嬉しいけど恥ずかしいよ。
「なんでお前が得意気なんだよ坂木」
「恭平は俺の自慢の幼馴染だからな。自慢したいだろ」
「は、恥ずかしいから自慢しなくていいよ!」
竜太や瑠美夏、清華みたいにわかってくれる人がいるだけでいいから!
「しかし、それなら上原と結婚する女は家事をしなくてもいいってわけか……いや、それとも……」
もう一人の男子が顎に手を置いて考えている。え? そんなに真剣に考えること?
「なぁ上原! 将来お前を雇うから俺の家で家事を───」
「ただいま~……」
何故か将来クラスメイトに雇われそうになる直前、瑠美夏が気だるそうに教室に入ってきた。
瑠美夏が帰ってきたことで、清華の顔がぱぁっと明るくなり、席を立って瑠美夏の元へと走っていった。
「おかえりなさい瑠美夏さん」
「ん~、ただいませーかぁ……」
僕たちのグループを含め、この教室にいるほとんどの生徒は清華と瑠美夏、このクラスの美少女二人の仲睦まじいやり取りをあたたかい目で見ていた。
あのクラスマッチが終わってから、一番変化があったのは瑠美夏だ。
今まではあまりクラスのみんなと話すことなく、一人でスマホをいじる物静かなタイプと思われていたみたいで、あまり近寄る人がいなかった。だけどあのクラスマッチで清華と一緒に戦っている姿を見たみんなが、よく話しかけるようになり、今では清華と同じくらいの人気者になっている。瑠美夏、可愛いもんね。
「うちのクラスの二大美少女のツーショット……いいな」
「な~。『聖女様』はもちろん、小泉さんもマジで可愛いから、あの二人のイチャイチャを見るのは目の保養だぜ」
瑠美夏と清華がイチャイチャしているのかはさておき、あの二人が仲良くしているのは僕も嬉しい。
「瑠美夏さん、席に座ります?」
「行く~」
「では行きましょう」
清華が瑠美夏の手を引いて、元いたグループの輪へ二人は入っていった。
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