第2話 リセット

神を殺すとは、神と戦うとはどんな想像を思い浮かべるだろうか?神に勝てる人間などこの世界いないという思想が普通だろう。神様は公平で平和で人々に優しい存在という人間が多いだろう。だが、俺が最初にいた世界の神たちは人間をまるでおもちゃのように殺し遊んでいた。


「南、何を寝ている」耳元で軍曹の声がしていた。俺はどうやら車の中で寝ていたようだ。


「呑気に寝ているとはほんとにお前は図太い人間だな」そう言いながら威勢の良い笑い声をあげていた。



軍に入隊してから1年、俺は様々な内戦に参加した。戦闘で人が死に、また死に、仲間もたくさん死んだ。そして、今日のイスラエルの戦闘でたくさんの人が死ぬだろう。


俺はそんな中でポールコールマンの居場所を探していた。


だが、あいつを見つけることはできなかった。


「お前がいつも持っている写真あるが、こいつはお前の何なんだ?」


「俺の親友です。俺はこいつを見つけるために軍人になったので」


「そいつのためだけに?命をかけてか?女みたいに見えるが男だろ。そんなにそいつが大事なのか?」


「そうです。俺にとってはこの世界で誰よりも大切な友人です」


車が止まり、今日寝床になる場所に着いた。時刻は夜9時を回っていた。俺は写真をポケットの中に入れ、車から降りた。空を見上げたらたくさんの星が見えた。


俺は少しばかり全員の目を盗み近くの町に行った。別にこの時間帯は自由時間であるし、問題ないだろう。ポールの写真がこの近くの町の風景だったからだ。



町は廃墟と化していた。わかりきっていたことだが、人は誰もいなかった。あたりにはまだ新しい人の血と死体の山。俺はそんな中でポールを見つけようとしていた。


割れた窓、凌辱されて殺された死体、破壊された家、荒んだ光景だった。そして、

見渡す限りの人の死体の中で見つけた。


それは確かにポールコールマンに似た人物だった。だが、魂が違っていた。



俺はまた、あいつを見つけられなかった。


俺は静かにスマートフォンを取り出し、ある番号を入力しかけた。

「レプリカ、やっぱり今回も違った」


レプリカは俺とポールコールマンが作り上げた人工知能であり、絶えず自己進化している。

「大佐、これで1万と333回目です。やはりポールコールマン少佐の魂はもうどこにも存在しないと私は思います」


「わかっている。だが、俺は1%でもある限り、探したいんだ・・・・・・・・・だからレプリカ、頼む」


そして俺はカバンから銃を抜き、こめかみに当て自分で自分を打った。



血しぶきが吹き荒れる中、いつもあいつとの会話を思いだす。そう、ほんとに何でもない会話。だが、あいつの声が俺には聞こえなかった。





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