アーサー・ブラッド・ベンジャミン
zero
序章
第1話 平和な世界
「朝ごはんですよ、南」何気ない日常の中、俺はいつものように朝食を食べて学校に行く準備をした。家族は父親と母親との3人暮らし。どちらも会社員である。俺は今年で18歳。来年には大学進学を希望している高校3年生だ。
「はあーーい。今行く」何もない日常。生活、食べ物に困ることもなく衣食住などすべてが揃っている世界。殺し合いがない世の中。何も申し分ない。だが、ここにはポールコールマンがいない。
「母さん、玄関の花どうしたの?」
「あーーー、たまたま花屋で安かったから買ってきたのよ。綺麗でしょカーネーションの花」
「・・・・・・・そうだね」あいつも花が好きだったな。
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『ほら、グレイスここにたくさんの花が咲いている』
『花はどこでも咲いてるよ。それよりも今は食料の確保が先だコールマン』
『でもさ、こんな綺麗な花見てるとさ、なんだか僕たちほんとに戦争の中にいるなんて信じられないよね。いつか戦争がなくなったら僕は花の研究をしたいな。世界中旅していろんな花を見てみたいな』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだな、ポール』
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俺は学校につくと友達に挨拶をして授業の準備をした。学内の成績は常に上位である。まあ、何万回もループをしていたら、どれだけ頭が悪くても覚えてしまうものである。
一日の授業を終えていつものように帰ろうしたところ
「南くん放課後進路指導室に来てください」進路指導の先生が俺に放課後来るように
言われた。
「南くん、進路の紙みたけど、、、、、これ本気なの?」
「本気です」
「家族はなんておっしゃってるの?」
「家族にはまだ何も言っていません。これからいう予定です」
「そう、だけどなんで進路希望がすべて軍人、陸上自衛隊とかでなく海外の最前線の軍人に。今の世の中は確かに平和よ。だけどほんとに悲惨なところがあるのは知っているわよね」
「知っています」
「そうよね、賢いあなたならわかっているわよね。なら、私の言いたいこともわかるかしら。そのようなところは私たちみたいな人種では間違いなく殺されます。平和ボケした日本人がそんな場所に行ったらすぐに殺されるわ。そしてあなたは確かに運動神経も頭もいい。だけどそれはあくまで平均以上なだけ。あそこにいるのは人の形をした悪魔たちよ」
「知っています」
「それでも行きたいの」
「そこに俺が欲しいものがあるからです」
「南君はなんだか不思議、というよりも子供らしくないわよね。まるで私よりも大人な感じ。変な意味ではないわよ。ただ、こう言っては何だけど、私も長いことこの仕事してきたけどあなたはどこかいつも客観的に物事を見てるわよね。まるで傍観者みたいに」そういうと先生はタバコを口に加えて火をつけた。
「内緒よ。こんなこと普通はしたらだめだから。もしよかったら今日私の家に来ない。もう少し南君と個人的に話をしたくて」先生はそう言って俺の太腿を触ってきた。俺はそれを払いのけた。
「嬉しいのですが、俺は今はそういう気分でもないので」
そう言って俺は進路指導室からでた。
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『いつか僕は世界中を旅したいなグレイス』
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俺はお前のために何度でも生まれ変わってやる。
「新入りか。名前は?」
「南 春樹であります」
「日本人か。まあいい、軍人になって最初にこの部隊ですることが一つある。遺書を書け。いつ死んでもよいようにな」
俺は両親を説得しようとしたが、無理だった。だから催眠術で洗脳した。前の能力があったために使えるものである。
これで俺は軍人になった。そして俺はポールコールマンを探すことにした。
俺はこの転生したのちに真っ先に探したのがポールコールマンの所在だった。向こうは俺のことなど全く覚えていないだろう。だが、俺はあいつのことを知っている、いつも。俺がたまたまあいつらしい人物を見かけたのが内戦の写真に写っていた一枚の写真だった。それを頼りに今ここにいるわけだが、やはり簡単には見つかりそうになかった。
「もしかしてグレイス大佐でありますか?」
俺に話しかけてきたのは身長2メートルはある軍人だった。だがその顔つきと風貌は知っていた。
「ニュートン中佐か?」
「左様でございます。まさかまたこうして同じ世界で会えるとは」
「これだけループも転生もしていたらいつかは当たる」
「大佐はポール少佐を探してここまで」
「まあ、そうだな。たまたま似たような人物の写真を見つけてな」
「、、、、大佐。わかっていると思いますが、ポール少佐はあのとき」
「、、、知っている。ポールは神に完全に抹消された。いくら転生しようとループしようとあいつはどこにもいないことも」
「大佐」
「だからなんだ。俺は限りなく0でも俺はあいつがいるかもしれない、そう思いたい」
「、、、大佐は変わらないですね。ゴースト部隊を編成したときから」
「ゴーストは俺が所属していた抹消部隊、ブラッド部隊をそのまま引き継いただけだ」
「そして、あなたはすべての神を殺した」
「殺したか。まだ何人かはいると思うがね」
俺はポケットからタバコを取り出して口に加え火をつけた。
「申し訳ありません。不愉快でしたか?」
「なぜ?」
「大佐がタバコを吸うときはいつも機嫌が悪い時なので」
「よく覚えているな、まあ、昔のことは思い出したくはない」
「セカンド、お前はいい加減俺のことを大佐と呼ぶのはやめたらどうだ?俺はもうお前の上司でもなんでもない」
「いえ、グレイス大佐は私の命の恩人です。あの時大佐が助けてくれなければ私もこの世界に存在していない人間でした」
「そして、俺と同じように重たい十字架を背負ってしまったか」
「後悔はしていません。私もまたこの世界の亡霊です。」
「それでは私は失礼させていただきます」
そう言ってニュートン・セカンドは俺の前からきえていった。
戦争は何度も何度も経験していた。だから俺はどんな局面においても死ぬこともなく生き延びることができた。
銃の打ち方。ナイフの持ち方。人の殺し方。すべて今までの経験から学んできた。人を俺は何人殺してきたのかももう忘れてしまった。どうでも良かった。人を何人殺そうが神を何人殺そうが。ブラッド部隊に所属したときから俺の手はもう人の血で染まりすぎていた。
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