第73話 No where to go

 私は、かねてからインドを旅したいという願望を持っている。それは、大学の時に韓国のユースホステルで出会った菩提樹氏(アーミージャケットの上に菩提樹のネックレスをしていた)が、インドに一番影響を受けたという話から来ている。何しろ彼は、世界中を旅していたから。


 しかし、カクヨムでインドのエッセイを読んでいると、衛生面やインド人との関わりの煩わしさなど、こりゃおっちゃん行ってもしんどいだけだわ、と思うのである。ただ、リシュケシュというガンジス川の上流にあるヨガの聖地でベジタリアンのまちなら大丈夫なんじゃないのという気もする。もっとも私にはヨガをする体力はない。


 その他の外国であれば、韓国。久々(実に35年ぶり)にソウルに行ってみたい。ソウルでは、ライブハウスに行ってロックを聴いてみたいね。ただ、私は韓国旅行で睡眠薬強盗に遭っているから、どうも嫌なんだよね。じゃあ、台湾はどうだ。ここは27年前に行っているが、当時付き合っていた台湾人が頭にくる奴で、ここも外す。


 アメリカは、どうだ。ここも20年ぶりだ。確かにアメリカは面白い。しかし、滞空時間の長さに辟易とする。私は手足が長いのでエコノミーは本当に辛いんだよね。しかも、友人がボストンに住んでおり、丸々アメリカ大陸を横断しなくちゃならない。

他に行きたい国…、イギリスだ。何しろ私は、ピンク・フロイドの大ファン。しかし、やはり滞空時間が長い。


 こうやって絞り込むと、タイなんか良いのかもしれない。ここも33年前に訪れた。飯は最高にうまい。トムヤンクン・スープとパッタイだ。パッタイは、米粉の麺を使った焼きそば風の食べ物だが、日本で食えば大体800円。しかし、タイの屋台で食えば100円らしい。


 これは、たまに冷やかしに行っているアクセサリー屋のお姉さんが、そう言っていた。彼女はタイに買い付けに行っているのだ。しかし、パッタイ食うためにタイまで行く必要はない。私の職場の近くにインネクスペンティブでうまいタイ・レストランがある。


 と、ここまでくると、海外はどこもダメで、国内はどうだとなる。私は、沖縄にも北海道にも行ったことがない。沖縄は、どうだ。ラフティー食いに?しかし、沖縄に行かずとも私の住む大阪の大正区にはリトル・沖縄がある。北海道はどうだ。おいしい海鮮がある。しかし、これもこれも北海道に行かずとも。と、考えるとどうも、もう基本的にどこにも行きたくないとなってくるんだよね。


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