第55話 改造Advance

~ルスア中央帝国・東海岸~


『よし、荷物を下ろせ』

『わかった』


中央帝国に到着した彼らは、潜水艦から荷物を下ろしていく。


『そろそろ、相手が来るはずだ』


彼らは英語で話している。

この世界では、日本語以外通じない。

そのため、旧世界の『外国語』というだけで暗号になっているのだ。


『きたぞ』


森の中から、帝国反政府組織の人間が出てきて、こちらに向かってくる。

こうして、緑の会とルスア中央帝国反乱軍は合流したのだった。


***

~一方そのころ「しなの」艦橋~


「司令!艦長!」


そう叫びながら、内村が駆け込んできた。


「どしたー?」

「ツバキの改造が完了しました!」

「……え、改造?」

「はい!」

「いや、そんなこと聞いてませんけど」

「今言いました!」

「いやいや……」

「とにかく、見てください!」


そう言って、内村はどこかへと走っていく。

そして、seaAdvance『ツバキ』を連れてきたのだが……


「おいおいおい……もう正規部品が見当たらないじゃん……」


ツバキは内村により改造され、ステッカーやらがべたべた張られ、

女性型なのに男ものの軍服を着せられている。

胸元には日の丸が縫い付けられているが、服自体はソ連の物である。


「めちゃくちゃっすね……」

「どこの国の軍だよこれ……」


目の色は、黒だったのが青色に。髪も、黒だったのが銀色になっている。


「目の色は加原製の視覚モジュールを買って、付け替えました!自費で!」

「もう趣味じゃねぇか……」

「服は、友人に譲ってもらいました!自費で!」

「お前のじゃねぇんだけどなぁ……」

「ちなみに、改造にかかった金額はすべて合わせて約1000万円です!」

「おぉう……」

「そして、すべて自費です!」

「そっすか……」

「ちなみに、旧世界の軍歌ほぼすべてをダウンロード済みです!」

「えぇ……?」

「大体の武器は扱えます!タンネンベルク・ガンから、35式小銃まで!」

「なにさ、タンネンベルク・ガンって」


木村がそう言ったとき、太田が早口で話し始めた。


「タンネンベルク・ガンとは、タッチ・ホール式の火器で、

タンネンベルク城から発見された事でこの名称になり、

現存する銃砲としては最古のものとされている銃です。

あ、タッチホール式とはヨーロッパにおいて知られる限り、

最も初期の形式の火器ですね。弾丸を筒の先端から火薬とともに装填し、

熱した石炭や焼けたL字形の鉄棒で火口に点火し発砲する方式でした。

そうだ、種子島に伝来した鉄砲はこれよりもっと後の時代に作られたもので――」

「もういいから黙れ」

「すいません」


木村が太田を押しのけ、内村にこう聞く。


「つまりは、世界最古の銃から最新の銃まで使えるってことね」

「そう言うことになります。まぁ、砲とかミサイルとかも使えますが」

「そこまでする必要あったか……?」

「まぁ戦闘用ですし」


***

~「しなの」機関室~


「歌宮機関長ー……ツバキにもっと機能を付けたいんですが、どうしましょう」

「知らんよ……あ、スパナ取って」

「はいはい」

「はいは一回!」

「は~い……」


「しなの」機関室では、内村と機関長の歌宮春香が話していた。

ちなみに、ツバキは部屋の片隅で充電中である。

いろいろ追加したせいか、こまめに充電しなければならなくなったのだ。


「次は太陽光パネルでもつけるかな……」

「いいから仕事しなさい」

「う~っす……」

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