第10話 海上農園

~「しなの」CIC~

「再生しますね」

「頼む」

CICのメインモニターに映像が映った。

「映像が荒いな……」

「まあ仕方がないでしょう。あんなにボロボロだったんですから」

「だな……」

その時、画面が暗転する。

「あれ?映像が」

「音声は入ってますし、映像データが破損しているのかもしれません」

「そうかもしれないな……」

銃声や金属音がスピーカーから響く。どうやら戦っているようだ。

『総……艦!……員退艦!』

男の声がところどころに響く。

「これは……艦長の声か。総員退艦が発令されたようだな」

「そのようですね」

「ここから先は録画されていません」

隊員がそう言った。

「何かに襲われたってことくらいしかわからないな……とにかく、海上農園に向かってみよう」

「了解」

***

~海上農園・第3農耕地区~

海上農園の沖で、「しなの」は仮泊。

望遠鏡で海上農園の様子を見ていた。

「作業員の遺体らしきものが多数。工事現場の周りになにかいます」

「あの黒い影はなんだ……?」

望遠鏡には、人型のモノが複数写っていた。

~「しなの」士官室~

「さて、これが海上農園の地図だ」

木村が机に海上農園完成予想図を置く。

ところどころに黒ペンで『工事中』と書いてある。

「状況を確認するためには、上陸するしかない。ここだ」

木村司令は第1港地区と書かれた場所を指さした。

「あの謎の生物が襲ってくる可能性があるため、自衛のために最小限の武装使用を許可する。以上!」

***

~「しなの」揚陸艇格納庫~

「装備確認!」

嵐の海に何らかの陸地があった時のため、「しなの」には水陸起動団が乗艦していた。

水陸機動団はそれぞれ装備を確認し、LCACに乗り込んだ。

格納庫内に海水が注水され、LCACのプロペラがゆっくりと回りだす。

LCACはスカートを膨らませると、高速で発進した。

***

~第1港地区工事現場~

工事現場に乗り上げたLCACから高機動車や96式装輪装甲車、155mmりゅう弾砲FH70に

多連装ロケットシステムMLRSや10式戦車など、多くの車両が上陸する。

「畑をあまり荒らすなよ」

「わかってますよ」

戦車隊は黒い影を引きながら進む。

その時、車両が停止した。

「なんだ?」

「わかりません。突然エンジンが」

その時、空に人影が現れる。

「……!?誰か!」

「あ~また来たんだ人間♡すぐに殺されるとも知らずに~」

そういったのは周囲に闇をまとった女性。

「はぁ!?」

「この島にいた人間は全部殺したよー?まあ、私を倒したら生き返るかもね♡はい、チャンスタ~イム!」

その女性が指を鳴らすと、車両から排気ガスが噴き出した。

「あ!動きだしました!」

「……全車後進!あいつから離れろ!」

「了解!」

「あ、私の名前はマーガレット。魔導士よ♡以後お見知りおきを!まあ、あんたたちは死ぬんだけどね!」

女性改めマーガレットがそう言いながら手を振りかざすと、後退中の10式戦車が吹き飛んだ。

「へ~こんなに簡単に壊れるんだ。あ、あの船が傷ついてた理由聞きたい?聞きたいでしょ!あれは私のしもべが破壊したんだよ~」

その言葉を無視し、車両は後進する。

その時、マーガレットが吹き飛んだ。

「な、なにごと!?」

混乱する彼女の上をF-35Bが飛んでいく。

「翼竜か?とにかくあれから『だんちゃ~く、今!』」

直後、また彼女が吹き飛んだ。

戦車隊が攻撃を開始したのだ。

『FDC弾着修正北100、効力射はじめ!』

「ちょっま」

爆発が続く。

『打ち方待て!コブラ隊前へ!』

『FDC了解、最終射、って!』

戦車隊は砲撃を一時的にやめ、攻撃ヘリが進む。

そして、20mmの弾が地面を耕していく。

「ぎゃああああ!!!」

彼女は悲鳴を上げ続ける。

そして、砂煙に巻かれる。

『やったか!?』

『おいまて「やったか!?」は回復魔法だ「よくもやったわねぇえええ?」……ほらやっぱり。オクレ』

彼女は砂煙の中から姿を現し、赤い槍をコブラに向かって投げつけた。

しかし、それは避けられてしまう。

「はぁ……はぁ……今のはちょっと危なかった……でも、次は『だんちゃーく……今!』」

マーガレットは吹き飛ばされ、下半身が消滅した。

「いたた……人間やめてたからよかったけど、普通だったら死んでたよ……」

『斉射よーい……撃て!』

「あ、避けな『だんちゃ~く、今!』」

マーガレットは完全に吹き飛ばされた。

「目標沈黙」

「状況……終了」

「えっこれ訓練だったの?」

「いや違うけど」

「じゃあ状況終了って何すか」

「さあ……」

「ええ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る