第7話 爆撃
「防衛大臣……自衛隊にB-52なんてありました?」
総理がそう言った。
「数年前に輸入しましたよ」
彼らの前には『帝国爆撃計画』と書かれた資料があった。
「B-52……B-52ねぇ」
B-52。アメリカ空軍の戦略爆撃機だ。2030年、航空自衛隊に配備された。
自衛隊に爆撃機がいるのかって?敵に都市が乗っ取られたら大変でしょう。
「まあ、許可するけど」
「じゃあ実行します」
「あ、民間人は殺さないように」
「わかってます」
***
~エレゲンツ帝国・帝都ケンシー上空~
「目標地点到達」
「投下!」
機体下部のハッチが開き、爆弾が落とされていく。
そして、軍事基地を吹き飛ばした。
***
机上スタンドだけが光る執務室。
総理は一人、考え込んでいた。
「……皇帝をさらうか」
総理はそうつぶやく。
(そうすれば日本国民に被害を出さず、帝国に勝つことができる。まあ、降伏を受け入れなかった場合……)
総理は少しだけ笑う。そして、電話を取った。
「もしもし、私だ」
『……』
「ああ。今回の任務は、帝国皇帝の誘拐だ」
『……』
「いや、降伏勧告を受け入れたら殺すな」
『……』
「受け入れなかった場合?……殺せ」
『……』
「ああ、わかった」
『……』
「では頼む」
『……』
通話は切れた。
「さて、どうなるかな……」
総理は笑みを浮かべる。
***
~エレゲンツ帝国・帝都ケンシー~
真っ暗な帝都、ケンシー。
そこを音もなく歩く者がいた。
上から下まで黒色の服装。
彼らは『別班』だ。
日本政府も知らない隠密部隊と呼ばれるが、
実際は総理大臣から直接指示を受け、なににも見つからずに任務を遂行する部隊だ。
……いや、日本政府が知らないというのは間違いではない。
政府の中でも、数人しか知らないのだ。彼らの服にはステルス迷彩がついている。
彼らはそれを起動し、帝都ケンシーを透明になって歩いていた。
「敵だ。撃て」
隊長の高田(仮名)が小声で言う。
他の隊員も無言のまま、静かに動く。
敵は帝国軍の軍服を着て、巡回している。
「……」
別班は引き金を引く。
空気の抜けるような音が数回響き、見張り兵は倒れ込んだ。
別班はステルスを起動したまま王城に侵入した。
***
「はぁ~眠いなぁ……」
帝国兵はそんなことを言いながら歩く。
すると、彼は倒れ込む。
後ろには血だらけのナイフを持った別班の隊員が。
別班は音もなく扉を開き、皇帝を捕縛。
そのままヘリに乗り、脱出した。
***
皇帝は降伏を拒否。その後、別班に殺された。
皇帝が死んだため、新たな皇帝が選ばれた。
新たな皇帝は皇帝の弟で、融和派のキナ・エレゲンツが選ばれた。
これにより、戦争は終わりを告げたのだった……
***
エレゲンツ帝国はもともと帝都ケンシーだけの都市国家であり、かつて国があった場所は独立した。
帝国はエレゲンツ帝国改め、ケンシー国となり、ケンシー国と独立した国々は一時的に日本が占領した。
これは事実上、属国の扱いである。まあ、一時的だが。
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