第5話 戦争
アルケテル王国の南に位置する巨大国家、エレゲンツ帝国。
王国と緊張状態になっていたこの国は突如、アルケテル王国に侵攻した。
***
「総理。このままではアルケテル王国もやられます。そうなると、我が国への食糧輸出がなくなり……」
「ジ・エンドってわけか。緊急閣議だ!緊急閣議!」
川田総理はそう言いながら執務室を出る。
そして緊急閣議が始まった。
「やはりここは自衛隊による介入でしょう」
美川防衛大臣がそう言った。
「う~ん……でも、自衛隊は交戦権を持っていないぞ?」
「相手はエレゲンツ帝国を名乗る『テロリスト』です。王国から『治安出動』の要請も出ていますし」
「お前、国をテロリスト扱いするのか!?」
一人が言うと、防衛大臣はこう返した。
「じゃああなたは滅んでいく国を指くわえてみていろと?」
「ぐっ……」
その言葉に誰も反論できなかった。
「仕方がない。自衛隊に……防衛出動を命ずる!」
「わかりました。統合幕僚長に伝えます」
それだけ言うと、防衛大臣は会議室から出て行った。
「まだ閣議終わってないのに……」
「まあ、善は急げと言いますし」
「……そうだな」
***
~「しなの」艦橋~
「防衛出動か~ま、妥当でしょう」
木村はそう言うと、新聞紙をゴミ箱に突っ込んだ。
「私は海上警備行動の方が妥当だと思いますがね」
「微妙なところね。とにかく、私たちの任務は敵艦隊の迎撃。おっけ~?」
「さっきも聞きましたよ……」
「それならいいわ。はい出港~」
木村はそう言いながら太田をドンと押した。
こうして、「しなの」以下第八護衛隊群は横須賀を出港し、エレゲンツ帝国艦隊との戦闘に向かった。
***
「そろそろアルケテル王国艦隊とのランデブーポイントです」
「結構速かったな……お、あれか」
双眼鏡を覗いた木村はそうつぶやく。
レンズの向こうには数隻の帆船があり、どれもアルケテル王国海軍機を掲げている。
大きさはミサイル艇「うみたか」ほどだろうか。
「結構な艦隊だな……何隻あるの?」
『CIC艦橋。速度10ノット、数20!』
「おお~大艦隊だね~」
「帆船にしては早いですね」
「風魔法でも使っているんでしょう。異世界だし」
「ちょっとのんびり過ぎません?」
「まあ友軍だしね
***
~アルケテル王国艦隊旗艦「スケルタ」艦橋~
「あれがニホンの船か。でかいし速いな」
「ですね。2000イールは離れていたのに、もうこんなに近くに」
ここで少しだけ解説。1イールは1マイルと同じである。
「さて、ニホンの力を見せていただこう……」
今回の作戦は海自艦隊が帝国艦隊を最初に迎撃し、残った船を王国が迎撃する……というシンプルな物である。
***
~エレゲンツ帝国侵攻艦隊「タシマケマ」艦橋~
「圧倒的ではないかわが軍は!」
「この艦隊ならアルケテル王国艦隊なんて一ひねりですな!」
「そうだな!ハハハハハ!」
恐怖が迫っていることを、彼らはまだ知らない……
***
~「しなの」CIC~
「対水上戦闘用意!」
「対水上戦闘よ~い!総員配置!」
隊員が急いで配置に着く。
「各部配置良し!」
「リコメンスファイヤ!ってー!」
その瞬間、スタンダードミサイルが敵艦隊へ向かって行った。
「スタンバイ……ターゲット、インターセプト」
レーダーから敵大型艦が消えた。
***
一方そのころ、エレゲンツ帝国侵攻艦隊……
「戦列艦「ニーケロ」撃沈!」
「何!?」
「敵艦隊視認!見た事もないやつです!」
その時、護衛艦の主砲が火を噴いた。
「あの距離で当たるわけが『戦列艦「メーチウ」轟沈!』」
「は!?あの距離で当たるなんて……いったいどんな魔法を……ま、まあいい!こっちには砲艦があるんだ!」
直後、爆発音が響く。
「何だ!?」
「ほ……砲艦『ミーカ』轟沈……」
***
「本艦のSM-2、目標αを撃沈。『みかさ』と『さくら』も目標β、Cを撃沈」
「降伏を呼びかけろ」
「了解」
その後、艦隊は降伏。
兵士達は日本へ連れて行かれ、急ごしらえの捕虜収容所にぶち込まれた。
もちろん人道的な扱いはしている。
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