秦(しん)

 秦はもともと中国西北部の遊牧民族の国であり、次第に勢力を強めながら東方へ移住したものと考えられている。


 秦は西北のように都を置いていたが、中原の韓・魏・趙・斉に比べれば政治的・文化的に見て後進国であり、中原の諸侯からは蛮族と見られていた。


 この後進国である秦がにわかに勢いを増したのは25代の孝公こうこうの時代である。秦を強大な国にするために良い策を出した者には高い官位と城を与えるという布告を出した。

 これを知っていた商鞅は秦に向かった。


 商鞅は孝公に近づくため、孝公お気に入りの宦官かんがんに多数の贈り物を送り、自分を推薦してくれるよう頼んだ。

 やがて、推薦してくれる人物が現れた。

 「衛の側室の子であり、魏で政治を学ばれましたか。問題はありません。あなたを推薦いたしましょう」

 商鞅はこの人物にあることを伝えた。

 「できれば、孝公に三度会わせてください。私は孝公の性格やなさりたいことなど何もわかりませんが、話しているうちにわかってきます」

 「そうですか。それでは3回だけなんとかしてみましょう」 

 「ありがとうございます」

 

 それからしばらくして、商鞅は孝公との謁見を許された。

 1度目は古代の五帝について。2度目は仁と徳で国を治める王道について。3度目は武力をもって諸侯を従わせ、諸侯の盟主となる方法について。

 3度の謁見の後、商鞅は孝公に呼ばれた。

 そこで厳格な法や制度により、秦を強力な中央集権国家とするべきだという主張した。孝公は商鞅の主張に深く共鳴し、国家改造の責任者に任命した。


     ----続----

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