商鞅(しょうおう)

奈良 敦

商鞅(しょうおう)

 西方の大国である秦は始皇帝の時代に強大な軍事力で諸国を破り、天下統一を果たしたが、その土台を作った人物のなかでも商鞅しょうおうは多大な貢献をした。


 商鞅は衛の出身で姓は公孫こうそん 名はおうで衛の側室の子である。

 法律や刑罰を重視する刑名けいめいの学に精通していた。没落した衛では腕の振るいようがなく、魏に向かい宰相である公叔座こうしゅくざ食客しょっかくとなる。

 徐々に公叔座は商鞅が優れた人物であると評価し、政治に商鞅の意見を取り入れたりしていた。

 

 やがて商鞅の良き理解者であった公叔座は年齢には勝てず病に倒れた。

 当時の魏の恵王けいおうは公叔座のもとへ見舞に訪れた。

 「公叔座よ。病気はどうか」

 「私も年には勝てませぬ」

 「ゆっくり休んでくれ。お前がいなくなれば誰を宰相にすればいいのだ」

 「それならば、私の食客に商鞅という者がございます。衛の側室の子であり、頭もよい男でございます。この男に任せるのが良いと思います」

 「そうか、そのような男がいるのか。考えてみよう」

 恵王はそう答えると、公叔座の家を後にした。

 だが、恵王は食客に過ぎない商鞅を宰相にするつもりはなかった。

 まもなく公叔座はこの世を去った。


 大きな後ろ盾を失った商鞅は思うような待遇を受けることができず、魏を去り秦に向かった。

  


       ----続-----


 


 

 

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