第47話
「ゆきちゃんも、もうすぐ1年目の誕生日だね。」
「速かったね。」
「ほんと、あっという間だったね。」
「美来は来年からは学校も戻るし、大変だけどがんばろうね。」
「俺も協力するから。」
「うん。カズくんありがとう。」
「俺こそ、ありがとう。」
「こんな幸せな思いが出来ると思わなかった。」
「私もだよ。」
「美来もカズくんもお疲れ様。」
「ママもありがとう。」
「二人に何かプレゼントしたいんだけど、何か欲しいものある?」
「ビール!」
「お酒!」
「そうだ!美来に聞いたよ。」
「美味しいカクテルが飲めるとこがあるんですってね。」
「私も行きたいなぁ。」
「じゃあ、3人で行こうか。」
ゆきちゃんの誕生日当日は家族で過ごしたいので、
前日に写真を撮りに行く事にした。
「1日だけシッターさんに頼んで預けて行こうか?」
「1日ぐらいならいいか。」
「カズくんは何か欲しいものある?」
「写真が撮りたいんだ。」
「ゆきと美来と香織と俺の4人の家族写真。」
「いいね!」
「飲みに行くときおしゃれして、写真撮って、ゆきちゃんを預けて、みんなで飲みに行こうか。」
写真を撮る前日、カズくんが話した。
「2人に渡したい物があるんだ。」
カズくんからプレゼントがママと私に渡される。
「良かったら、写真に映したくて、だから早めに渡すね。」
カズくんからのプレゼント。
なんだろうな。
「「ネックレスだ!!」」
ママと同じこと言っちゃった。
私のはダイヤのネックレス?
「これ本物?」
「失礼な。安いけど本物だよ。」
ぜったいそんな安くない。
「私のは真珠のネックレスだ。」
「これ本物?」
「同じ事聞くなよ。安いけど本物!」
「ありがとう。とってもうれしい。」
「ほら。ネックレスだからさ。」
「洋服とか、選ぶのに時間が必要でしょ。」
「ぎりぎりに渡すのは悪いと思って。」
「カズくん!わかってるねぇ!」
「女の人はね。アクセサリーに合わせて洋服を選ぶ時間はとっても楽しいんだよ!」
「カズくん。ありがと。」
さらにその前日、カズくんが言ってくれた。
「ゆきの1年記念に、感謝を込めて香織にネックレスを贈りたいんだけどいいかな?」
「もちろん、いいよ。」
「一緒に選んでくれる?」
「カズくん!偉い!前に言ったこと、ちゃんと覚えてくれてたんだね!」
頭を撫でてあげた。
「約束したからさ。」
「そうだね。」
一緒に選んだ真珠のネックレス。
ママがイミテーションしか持っていない事を私は知っているからカズくんに教えてあげた。
でも、これが似合うと思って選んだのはカズくんだ。
だから、本物のプレゼント。
私のまで買っているとは知らなかった。
サプライズだから今回は許してあげよう。
真ん中にゆきちゃんを抱えた私。
後ろにカズくんとママがいる。
そんな写真だ。
「写真は30分ぐらいで出来上がるって。」
「それまでご飯食べようか。」
連れてきてくれたのは、駅からちょっと歩いたところのレストラン。
レストランと言っても小さな喫茶店みたいな感じだ。
椅子は長めのソファで赤ちゃんを横に寝かせても十分に広い。
ここはカレーがおすすめだよ。
「カズくん。世界で3番目に美味しいって書いてあるよ。」
「どういう意味?」
「うーん。」
「知ってるけど、店員さんに聞いてみたら?」
「カレーを頼むと教えてくれるよ。」
「じゃぁ。カレー頼んでみる。」
「私は魚介シチューにしようかな。」
「俺はパスタにしようかな。」
「「一口頂戴!」」
「はい。」
「このカレーは、なんで世界で3番目なんですか?」
「それはですね。1番目がお母さんのカレー、2番目が奥さんのカレーで
3番目がここのカレーになります。」
「なるほどですね。」
「じゃぁ、私には1番がママのカレーで2番目がカズくんのカレーなわけかぁ。」
「実際はカズくんの方が料理上手だけど。」
「私のカレーも美味しいって食べてたじゃん。」
そんな話をしていたら前菜のサラダが来た。
「前菜なんて付いてるの?すごいね。」
小さなサラダが3種類乗ったプレートだ。
「雰囲気良いね。夜は居酒屋さんみたいになるんだって。」
「夜は来たことないけど。」
「あとは飲み物が付いてるから選んで。」
「私はコーヒー、美来はミルクティーで、俺もコーヒーで」
料理が到着した。
「うまぁ!」
「美味しい!」
「ね。美味しいでしょ。」
「ママ!カレーも食べてみて。」
「ほんと!美味しい!」
「魚介シチューもすごいよ。」
「ほんとだ。エビの味が濃くて美味しい!」
「カズくんのパスタも1口頂戴。」
「私も食べる。」
「このクオリティでドリンクもついて前菜もついてならすごい安い!。」
「ほんと。都内だったら2000円以上するよね。」
「よかった。俺のお気に入りのお店だから2人に紹介出来て良かった。」
料金を支払い、お店を出ようとした。
二人とも待って!
「え?」
急に呼び止められて二人してびっくりした。
カズくんが出口の扉を開ける。
「この店はとっても美味しんだけど、お店出たときにすぐ段差があって危ないんだよ。」
「それだけが欠点。」
外に出て振り返り、カズくんは両手を差し出す。
左手を私が握り、右手をママがとる。
なんかおとぎ話のお姫様みたいなシーンだと思った。
2人して段差に注意して降りた後、ママは手を離した。
私はまだ握っている。
「こういうのは美来にだけしなさい。」
「でも、ありがと。」
まさか、ママがツンデレキャラだとは知らなかった。
「じゃあ、ゆきを預けて来るから、2人でぶらぶらしていて。」
「1時間くらいで戻ると思う。」
カズくんはゆきちゃんを預かってくれる施設に預けに行った。
「ママのネックレスも綺麗だね。」
「美来のネックレスも綺麗だよ。」
「今度、交換して付けてみようよ。」
「なんか姉妹みたいだね。」
「カズくんにお返しで腕時計をプレゼントしたいんだけど。」
「美来も一緒に選んでくれる?」
「もちろんだよ!ママ!」
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