第39話
「もう、すっごくかわいい!」
ゆきちゃんは声を出して笑うようになった。
手を舐めたり、指をしゃぶったり。
ゆきちゃんのお気に入りはピヨピヨと音のなるアヒルのおもちゃ。
口に入れようとするので、いつもよだれでべちょべちょだ。
ムズムズ泣くことも多いのだが、
以前より機嫌よく笑うことが増えたので、それだけで嬉しい。
特に、この間の中耳炎もあり、健康でいてくれることがこんなにも嬉しい。
今日はカズくんの誕生日。
やっと首が座ったばかりなのでまだ出かけられない。
ホームパーティで許してもらおう。
私からのプレゼントはこれだ!
「何?」
「おおおおお。包丁!」
「しかも、ダマスカス鋼のやつじゃん!」
「欲しかったんだよなぁ。」
「すっごい綺麗だ。」
「美来!ほんとありがとう!。」
「私からはこれだ!」
「デカいね。」
「何これ。」
「回転焼き鳥機だ!」
「しかも、鶏肉も買ってきた。ネギも買ってきた。串もあるぞ!」
「ようするに、今、作れと。」
「どうだ!まいったか!」
「誕生日に”まいった”とかないでしょ。」
「包丁も使ってみたいし、今用意してくるよ。」
「ちょっと待っててね。」
5分ほどで戻ってきた。速いな。
「セットしてと。焼けるまでケーキ食べてようか。」
「美味しい!」
「焼きたての焼き鳥うまっ。」
「塩加減が良い感じ。」
「ビールと滅茶苦茶あう!」
ゆきちゃんが寝返りした。
はいはいして動き回るのも、もうすぐだろう。
「カズくん、部屋を改装しますので手伝ってください。」
「どうすんの?模様替え?」
「ゆきちゃんが動き回っても怪我をしないようにカーペットを変えて、家具や柱にクッションを付けたいの。」
「いいね。」
「ネットで買って届いたら付けてあげるね。」
カズくんは今、仕事中。
どうしても今やってる仕事を今週中に終わらせなきゃいけないらしい。
私が頑張らなきゃ!
「カズくんはピザ何食べる?」
「ピザーラのカレーモントレー。」
カズくんは意外と味覚が子供だ。
可愛くて笑っちゃう。
「カズくん。ピザ来たら受け取っといて。」
「美来はゆきちゃんとお散歩行ってくるね。」
「気を付けてね。」
この間からベビーカーでお散歩してる。
外の空気や景色を感じる事が大切らしい。
自宅の近くに江戸川が流れていて、10分ほどで土手に出れる。
子供にとっては駅前のマンションよりこっちの方が良かったね。
今日は私の誕生日!
「ハッピバースデー!美来!」
「去年はつわりで楽しめなかったから、今日は楽しむぞぉ!」
「「「カンパーイ!!」」」
授乳も済ませた。
ミルクもばっちり用意している。
ゆきちゃんはお
「では、今年は花束でーす!」
「バラ!真っ赤なバラきたぁ!」
「花束貰ったの生まれて初めてだよ!」
「今年はちゃんとしたケーキでーす!」
「俺のスペシャルケーキだ!美来の大好きなイチゴを山ほど入れてある!」
「このケーキ1つでなんと、60個もイチゴを使ってます!」
「切ってみて!」
「すっごい!イチゴだらけ!」
「気に入った?」
「最高!」
「さて、本命のプレゼントはこちら。」
「何?指輪?」
「ピアスでしたぁ。」
「すっごい綺麗!」
「ダイヤじゃなくてごめんね。ダイヤはいつか買うから。」
「でもすっごい綺麗だよ!」
「ダンシングストーンって言って揺れるんだよ。」
「キラキラ光ってる!」
「すっごいステキ!」
「私からはこれ。」
「箱大きいね。」
「バッグじゃん!」
「ちょっと大きめの旅行バッグ!」
「ママも色違いの買っちゃった。」
「ありがとう!」
「ゆきちゃんの荷物とかいっぱい入りそう。」
「あと半年すれば旅行も出来るから頑張ってね。」
「ママ、ありがとう。」
「あと半年たてば、浴びるように酒が飲めるのになぁ。」
「今日は3本で我慢しときなさい。」
「いつもより1本多い!」
「ママ優しい!」
「お腹いっぱい!」
「カズくん、ケーキ美味しかった!」
「また作ってね。」
「あれはスペシャルだよ。めっちゃイチゴ代高いんだよ。」
「また来年だね。」
「残念。」
「代わりに、もう一つプレゼントがありまーす。」
「え?何、何?」
「マッサージ機ぃ!」
「電マじゃん!」
頭がテニスボールぐらいの普通の電マだ。
「これ。エロいやつ?」
「エロも普通も同じだと思うけど。」
「目的はエロです。」
「前に、おもちゃプレイはしたじゃん。」
「これ試してみようよぉ」
「えーーー。」
「痛くしない?」
「ちゃんとローションも用意してるから。」
「それでオナしてる友達いるけど、そっちが良いってなるかもよ。」
「そうならないように努力するから。」
「まぁ。したいなら。いいよ。」
「でも、やめてって言ったら、ちゃんとやめてくれる?」
「やめる。やめる。」
「誕生日プレゼントに電マかぁ。複雑。」
「さぁ。美来ちゃん。横になって。」
「ちゃん付けで呼ぶなぁ。下心丸見えだわ!」
「まずは普通にマッサージしようねぇ。」
「うつぶせになってくだちゃいね。」
「なんで赤ちゃん言葉。きもいわ!」
「はい。肩からいきますね。」
「あ‘あ‘あ‘あ‘あ‘あ‘あ‘」
「結構振動するね。肩気持ちいい!」
「はい逆の肩行くね。」
「おおおおお」
「普通に気持ちいい!」
「肩甲骨行きますねぇ。」
「変なマッサージ屋来たみたいだ。」
「ぐああああ。肩甲骨も気持ちいい。」
「今度は足から行きますね。」
「足の裏。」
「ひゃはははは。くすぐったい。」
「ふくらはぎ。」
「うううううう。気持ちいい。」
「太ももの裏、行きまーす。」
「あああああ。そんなとこも凝ってるのか。」
「お尻行きますね。」
「ふわあああ。」
「お尻気持ちいいわ!凝ってるんだね。意外に。」
「腕、行きますね。」
「赤ちゃん抱えてると腕こるの。助かる。」
「はぁ。気持ち良かったぁ。」
「じゃあ仰向けになってください。」
「ちょっとだけ暗くして。」
「しょうがないなぁ。美来ちゃんは。」
「なんで今日はちゃん付け?」
「はい行きますよ。」
「左腕から脇にかけて。」
「ひゃひゃひゃ。くすぐったい。」
「おっぱいの上行きます。」
「あぁそこ、こってるみたい。気持ちいい。」
「右腕から脇にかけて。」
「ひゃひゃひゃ。」
「なるほど。脇は弱いと。」
「普通だから!」
「お腹行きます。」
「ゔおおおおおおお。お腹効く。」
「太もも行くね。」
「太ももいいわぁ。」
「足がこってるんだね。」
「そうなの。赤ちゃん重いんだよ。」
「どう?リラックスできた?」
「うん、普通に気持ちいいね。電マ。」
「マッサージも嬉しい。」
「キスしたい!」
「急に真顔になんないでよ。」
「だって。エロくてかわいいんだもん。」
キスした。
「あったかくて気持ちいい!」
「そう?」
「美来はこのまったりした感じが好き。」
「俺も美来が好きだよ。」
好きって言われるとキュンとくる。
一気にテンションが上がる。
「やめてって言ったのに。」
「ごめん。止まらんかった。」
「もう知らん。寝る。」
「美来ちゃん。ごめん。許して。」
「ちゃん付けするな!」
まだしびれてる。
あの振動はヤバすぎる。
確かにハマるのがわかった。
これはぐっすり寝れそうだ。
今度一人で使ってみよう。
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