第38話
いっぱいキスしてくれる。
こんなに幸せにしてくれるのに、なんでイライラしてたのかな。
「はぁ。幸せ。」
「重くない?」
「重いのが幸せ。」
「ふごい、いっはい。」
「ほんとだ。。」
「口の中に指をいれてかき回される。」
指で舌触られるのもなんかいいな。
口の中重た。
飲み込んだ。
「くはぁ。」
「はいお茶。」
「カズくんごめんね。我慢させちゃって。」
「美来も我慢しないでいろいろ話すから。」
「カズくんも我慢しないで欲しい。」
「カズくんももっと、もっと美来を求めて欲しいの。」
「わかったよ。ありがとう。」
「こちらこそだよ。」
カズくんに抱き着いた。
ようやく、とうとう、やっと、3か月が過ぎた!
授乳の間隔も落ち着いた。
さっき
念のための
「ママ行くよ!カズくんも!」
「「「カンパーイ!」」」
「んっはぁ!」
「ビール、うんまぁ!しみるぅ!」
「美来、気持ちはわかるけど「しみる」はジジくさい。」
「だって、10か月ぶりだよぉ」
「こんな待ち焦がれたことは無いよ!」
「うん。ほんとに偉かったよ。美来。」
「でも1日2本までだからね。」
「それでも嬉しいよぉ。」
「あれ?10か月ぶりだと計算合わなくない?」
「「え?」」
「間違えた!1年ぶりだ。おいしいわぁ。」
「ママも妊娠中ビール飲めなくて大変だったでしょ。」
「・・・・」
「飲んでたの?」
「美来、こんなに元気に成長してくれて、ママはとっても嬉しい!」
どうやら私はビール漬けで育ったらしい。
「たまにだったんだよ。弱いママを許して。」
気持ちはわかる。
妊娠してから授乳開始から3か月まで飲めないとなると1年かかる。
1年間飲めないのは辛いなぁ。
「でも!弟が欲しいの!」
「弟?」
「ゆきえの弟!」
「もう1人欲しいって事!」
「まだ産まれて3か月だよ。」
「今だってやっとなんだから。」
「もうちょっと待とうね。ね。」
「体を大切にしないと。ね。」
「じゃぁ。来年。」
「もうちょっと空けようよ。」
「だってカズくんの子種が干からびちゃうかもしれないじゃん!」
「干からびるとか、やめて。」
「言いたいことはわかるけど、言い方!」
「あまり年が近いのもどうかと思うんだよね。」
「おれは姉貴と5つ離れてるから良かったけど、年近いと喧嘩が多くて大変だよ。」
「お姉さんと喧嘩しなかったの?」
「子供のころから勝てないのわかってるから、諦めてたんだろうね。」
「機嫌悪いときは関わらないようにしてたけど、それでも絡んでくるんだよ姉貴は。」
「やっぱりそれだよ!」
「お姉ちゃんがいる男の子はモテる法則はそれだよ!」
「?」
「きっと空気を読むスキルが身に付くんだよ。」
「なるほど。」
「怒られないように逃げたり、悟られないように逃げるスキルが磨かれるわけだ。」
「どっちも逃げてるね。」
「気を使える優しい男になるって事だよ。」
「にわかには信じがたいな。」
「でもお兄ちゃんがいる女の子が持てる法則ってのもあって」
「甘え上手になると思うんだよ。」
「なるほど。」
「男心をつかむスキルが身に付くという事か。」
「ちょっとわかった気がする。」
「それで弟が欲しいと言い出したのか。」
「でも、男は面倒だよ。暴れるし。」
「成長したらすぐ父親なんて相手にされなくなるし。」
「やっぱり娘が良いなぁ。」
「姉のいる妹は気が遣えて、男にもモテて最強なんじゃない?」
「私もママも一人っ子だからわからないなぁ。」
「友達に妹いる子がいるから聞いてみる。」
「・・・・」
「姉曰く、“裏表が激しい”、“性格が悪い”らしい。」
「別の意味で、最恐だった。」
「そこが特別なんじゃないの?」
「仲のいい姉妹だって、いっぱいいるでしょう。」
「子供2人欲しいっていうのは俺も賛成。」
「でも、おれは美来が一番大切なの。」
「だから体に負担をあまりかけたくない。」
「3年ぐらいはゆきえに集中して、無理をしない様にしよう。」
「たぶん3年くらいは大丈夫だから。ね。」
「カズくん、やさしいぃ。」
「大好きだよぉ。」
「いい子、いい子」
「枯れないでぇ。」
「言い方考えようね。傷つくから。」
生後3か月で体重は生まれたときの倍の6キロになった。
すっごい太って丸々しちゃった。
一応検診でも問題ないし、平均体重らしいけどホントに大丈夫だろうか。
5キロの米袋より重いんだから、それは疲れる。
しかし、まだまだ泣くのが止まらない。
おっぱいも2時間おき、おしめも2時間おきだからほぼ1時間おきに泣かれる。
夜中も2時間おきに起こされる。
おしめとおっぱいはまだいい。
夜中に意味が解らず泣かれると、どうしたら良いかわからず困ってしまう。
でも、あやさないと赤ちゃんは不安になるというし。
だれか、赤ちゃんの言葉がわかる機械を開発してください!
また泣きだした。
「たぶんおしめだから、俺がやるよ。」
「ゆき。こんどはうんちか?おしっこか?」
「え?」
また泣いた。
「美来~。おっぱいだって。出そう?出なければミルク作るけど?」
「え?」
おっぱいを出したら吸い付いてきた。
「ほんとだ。」
「なんでわかったの?」
「ん?なんでだろ。なんとなく。」
カズくんが泣き声で何を欲しがっているのか7割ぐらいで当てるようになった。
それが予想以上に楽になった。
「はい。お尻キレイなったね。スッキリしましたか?」
「美来!おっぱい!」
「はいよ!」
という具合に、泣くとすぐ対応して泣き止むようになったのでかなりストレスが減った。
どうしようもない時はどうしようもないので諦めた。
また泣きだした。
「カズく・・・えっ?」
「ゆきちゃん!大丈夫?どうしたの?」
熱がある!
「カズくん!カズくん!ゆきちゃんが熱出した!どうしよう!」
「何度あるか調べよう。」
「39度もある。どうしよう。病院いってみようか?」
「カズくん。ゆきちゃん大丈夫かな。」
「急いで車で連れて行く準備するね。」
今、診察中だ。病院のやっている時間帯で良かった。
「中耳炎ですね。早めに気が付かれたのでよかったですよ。」
「大丈夫ですか?」
「今は熱も下がってきましたので、1日入院して様子を見ましょう。」
「はい。ありがとうございます。」
「美来。よかったね。まだ早めに気が付いて。」
頭を撫でてくれる。
「なんかね。いつもの泣き声と違ったの。」
「信じてもらえないかもしれないけど、「ママ助けて!」って声が聞こえた気がしたの。」
いまさら、怖くなってきた。
涙が出てきた。
頭を抱きしめてくれる。
「俺は信じるよ。」
「ママにしかわからないことがあると思うから。」
3日ぐらいしたら元気になって、またおっぱいをいっぱい飲むようになった。
よかった。
「もっとおっぱい出してあげれたらいいのに。」
「ゆきちゃん。飲み足りないよね。」
「気にすることないよ。今は粉ミルクも母乳に近いって言うし。」
「あーーーーうぐうぐ。」
「カズくん。ゆきちゃんが声出したよ!」
「ほんと?」
「なんかしゃべろうとしてんのかな?」
「ミルク飲む?」
「あっ。うんちだ。」
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